| Project/Area Number |
24K03801
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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| Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
高名 康文 成城大学, 文芸学部, 教授 (80320266)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅広 龍谷大学, 文学部, 准教授 (20646377)
坂田 奈々絵 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (30795109)
頼 順子 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (50721809)
川瀬 瑞絵 (長友瑞絵) 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60422523)
吉川 斉 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60773851)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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| Keywords | 西欧中世 / 動物表象 / 動物観 / 人と動物 / 動物論的転回 / 動物寓話 |
| Outline of Research at the Start |
本研究は13 世紀を中心とし、その前後の時代を射程にいれながら、西欧中世における人と動物の関係を探るものである。中世における動物論的転回が起きたともされる同時代について、主に二つの観点からアプローチする。第一には表象の領域で、文学や写本挿絵における動物を巡る表現を扱う。第二には言説の領域で、現実における人と動物との関わりや、同時代における動物を巡る規範や理論を扱う。そして両者を統合することで、人間中心主義的と一般化されがちな中世の動物観について分析し、学際的にその特徴と意義を明らかにすることを目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、西洋中世における動物と人の関係を探るため、文学・絵画における動物表象の分析を行う「表象班」と、歴史と思想における動物に関する言説の分析を行う「言説班」の2班に分かれて調査を進めた。 表象班は、西洋中世の動物表象のリアリティとシンボリズムを明らかにすることを目的に、古代から中世の文学や図像を調査した。高名は『狐物語』第II枝篇のα系写本を転写し、これを基にマルタン校訂本を再検討し、動物の登場人物の行動表現の分析を始めた。長友は、13世紀の特徴的な変化を持つ2つのベスティアリウム写本(大英図書館Royal MS 12 F XIII、ボードリアン・ライブラリーMS. Bodley 764)を取り上げて分析を進め、次年度の現地調査に向けた基盤を築いた。吉川は、オウィディウス『変身物語』における動物表象を検討した。作中の動物へ変身する逸話および「狩り」に関わる逸話を分析し、それらを中世フランスのオウィディウス受容の事例と比較した。 年度末には髙木麻紀子氏をゲストに迎えてシンポジウム「西洋中世におけるテクストとイメージ」で研究成果を発表し、活発な議論が行われた。 言説班では、中世における人と動物の関係に関する理論と実際を中心に研究を進めた。坂田は、ドゥランドゥスの『聖務の理論』を中心に動物への言及を調査し、12-13世紀の聖体論争の文脈での動物と聖体に関する言説を収集・分析した。山口は、アクィナスがアリストテレスの「ポリス的動物」概念をいかに受け入れたかを検討し、アヴィセンナの『魂論』を自由に解釈して概念を変更した可能性を示した。頼は、『フランス大年代記』や『シャルル6世の年代記』における狩猟や動物に関する記述を抽出し、先行史書と比較して動物観を分析した。 言説班のメンバーも年度末にはシンポジウムに参加し、意見交換を行い、今後の研究を深化させるための問題意識を得た。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は計画通り順調に進んでおり、全体として予想以上の成果が得られた。研究は、表象班と言説班の2つのグループが、それぞれのテーマに基づいて調査を進め、動物と人間の関係を多角的に探求することができた。特に、両班が協力し合うことで、文学、絵画、思想、歴史における動物観を幅広く扱い、研究の枠を越えて新たな発見をすることができた。 まず、表象班の進捗は非常に順調であり、西洋中世の動物表象のリアリティとシンボリズムの側面に関する調査が進められた。動物が持つ象徴的な意味と、実際に描かれた動物の特徴を明らかにすることで、今後の研究に対して重要な影響を与えるだろう。 言説班では、動物に関する理論的な探求と実際の言説分析が順調に進行し、特に中世の宗教的・哲学的文脈での動物観に関する理解が深まった。動物と人間の関係が思想や宗教の中でどのように形成されてきたのかに焦点を当てたことで、新たな視点が得られた。各自が扱った文献や史料の調査結果は、全体の研究成果を豊かにし、研究を一層進展させるものとなった。 また、年度末に表象班主催のシンポジウムが行われ、言説班で海外滞在中だった山口を除く全メンバーが一同に会すると同時に、外部の研究者との活発な議論が行われた。この交流によって、個々の研究者は自らの研究が学際的な文脈でどのように位置づけられるかを再確認できた。研究の方向性や方法論を深化させるための契機となった。 全体的に、研究は予定通り進捗し、次年度に向けてさらなる調査の基盤が固まった。この成果をもとに、次年度には現地調査や追加の資料収集が行われ、今回得られた成果を基にさらに深い分析が進められることが期待される。今年度の研究を通じて、着実に前進し、今後の学問的発展への基盤が築かれたと言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
2025年度は、2024年度の研究を基盤として、西洋中世における動物表象を多角的に分析し、人間―動物関係の理解をさらに深めることを目的とする。動物は、象徴的存在として文学や図像の中に、また現実世界においても宗教・倫理・政治と密接に結びついた存在として現れる。本研究では、こうした動物観の複層性を、文学・図像・歴史・神学の観点から検討する。 表象班では、中世文学、図像資料、古代の遺産に注目し、中世における動物の象徴的意味とその源泉を探る。『狐物語』を一例に、Bestiarium(動物寓意集)や聖書の解釈伝統が動物表象に与えた影響を考察する(高名)。また、写本挿絵や教会彫刻に見られる視覚的表象を分析し、テクストにとどまらない動物観を読み解く(長友)。加えて、古代ギリシア・ローマにおける『イリアス』の比喩や「イソップ寓話」、オウィディウス『変身物語』などに表れる動物像が、中世においてどのように継承・再解釈されたかにも注目し、古代と中世の間にある思想的連続と断絶を検討する(吉川)。 言説班では、歴史・哲学・神学の視点から、中世社会における人間と動物の関係をめぐる言説を分析する。『フランス大年代記』などの史料に記される狩猟や動物の描写を通じて、王権や修道士による価値づけの変化を探る(頼)ほか、トマス・アクィナスの自然法・徳倫理に基づく動物観を検討する(山口)。また、創世記や雅歌に関する注解・説教の分析を通じて、古代末期から13世紀にかけての神学的受容の変容を明らかにする(坂田)。 2026年初頭には「西洋中世の動物を巡る思想と実践(仮)」と題するシンポジウムを開催し、研究成果を総合的に共有・討議する。こうした学際的検討を通じて、動物表象を手がかりに中世の知と感性の構造を読み解き、現代における人間―動物関係への省察にも資する知見を提示したい。
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