| Project/Area Number |
24K03883
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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| Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥 聡 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (70224144)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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| Keywords | 比較統語論 / ラベリング / 生成文法 |
| Outline of Research at the Start |
「[太郎が書いた][本]」は「本」が全体のラベル(範疇)を決める要素で、修飾節は範疇を決める上では脇役である。ここでは「書いた」という連体形により、「本」が主要部(head)で節が脇役であることを示している。英語では「[books][which John wrote]」のようにwhichが節を脇役にするマーカーであり、さらに中国語では「[Lisi xie de][shu]」([Lisi書く的][本])のように、de (的)が同様の機能を果たしている。このように、本研究では、2つ以上の要素からなる統語体において、ラベルを決めるメカニズムの言語間の共通点と多様性を明らかにする比較統語論研究である。
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| Outline of Annual Research Achievements |
Oku(2018)の日英比較のラベリングでの提案、とりわけ音声部門に係るラベリングと意味解釈部門に係るラベリングは異なりうるという着眼点を発展させ、中国語の動詞コピー構文における二次述語(secondary predicate)のラベルに関して、石文君氏との共同研究を進めた。具体的には、(1)において、同じ動詞ca (拭く)が二回出てこなければならない理由に関するZhao (2022)の分析を精査するところから研究を進めた。 (1) Zhangsan ca chuanghu ca de hen lei. Zhangsan wipe window wipe DE very tired. (1)は'Zhangsan wiped the window and got tired'という意味であるが、動詞句と結果の二次述語の複合体[VP + ResP]のラベルが決まるメカニズムに関して、Zhaoの分析の大きな問題点を明らかにした。すなわち、動詞句VPが主節文の中に移動することによって、この複合体のラベルが結果句ResPに決まるというZhaoの提案では、派生後に出来上がる統語構造において、small vが(VPではなく)ResPを選択しているという誤った形になってしまう。この問題に関して、選択制限に影響を受けないPF側でのラベリングには問題はないが、選択制限が満たされていなければならないLF側では、small vに選択されるVPが必然的にラベルとして同定されるという新しい提案をした。この提案は、PF側とLF側でラベルのタイプが異なりうるというOku (2018)の仮説を支持する、新たな証拠となると考えられる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたり、複数の学会、研究会に参加し専門家とのディスカッション、情報交換を行った。ラベリング理論を用いたさまざまな言語のさまざまな構文の分析が、現在、盛んに行われ、ラベリングの観点から従来の分析を見直す研究が非常に注目されている。 そうした中で、石文君氏との共同研究が発展し、上記「研究実績の概要」で述べた新たな知見を得ることができた。また、これを以下のワークショップ及び国際学会で口頭発表し、多くの理論言語学の専門とディスカッションをすることで、今後の研究の進展の方向性につながる知見を得ることができた(いずれも石文君氏との共同発表)。 統語論・意味論・言語獲得ワークショップ(南山大学言語研究センター:2023年7月6日) 世界言語学者会議(ポーランド・ポズナン:2024年9月10日)
さらに、現在、複合体の要素の一方を移動させることによって、残った方の要素がその複合体のラベルになるというアイディア(Chomksy 2013)を、中国語の「分裂非対格動詞構文」の分析応用する研究を、高叶琳氏と進めている。これはこの構文に対する従来の所有者上昇分析において積み残されていた格付与の問題に対して、理論的にシンプルな説得力のある説明を与えることができる以上に有望な分析となると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
現在、中国語、日本語、英語の比較統語論的研究を進めながら、以下の点を中心に議論を進めている。(1)LF側とPF側でラベルのタイプが異なりうるという仮説のさらなる帰結の検討,(2)異なる言語間におけるPF側でのラベリングの仕組みがどこまでどのように異なるか、(3)異なる言語間においてもLF側でのラベリングの仕組みは基本的同じであるという仮説の検証、(4)ラベリングにおける[XP, YP]問題に関して、少なくともLF側においては主要部による選択特性との適合性という観点からも解決できるという可能性のさらなる検証
次年度も、全国の研究会、学会に積極的に参加し、専門家とのディスカッションを通して、情報収集を行う予定である。また、レベリングに係る新しい研究論文が数多く発表され続けているので、それらにも常にアンテナを張って、世界的な研究の流れをしっかりとにらみながら、考察を重ねる。
最終年度となる2026年度は、引き続き学会、研究会への積極的参加をし、専門家とのディスカッションを続け、年度後半には、成果を研究論文として積極的に発表していく予定である。年度末までに、3年間の成果報告書を作成し、国内外の研究者に配布する予定である。
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