| Project/Area Number |
24K04559
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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| Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
阿部 克則 学習院大学, 法学部, 教授 (20312928)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 豪政 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (60736510)
猪瀬 貴道 北里大学, 一般教育部, 教授 (70552545)
平見 健太 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (10812711)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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| Keywords | 国際経済法 / 貿易と環境 / 投資と環境 / 持続可能な開発 / レベル・プレイング・フィールド |
| Outline of Research at the Start |
従来の国際経済法においては、経済的関心が中心で、環境問題は周縁的な価値と位置付けられがちであった。しかし、持続可能な開発の概念の浸透により、経済協定における環境価値の中心化が見られ、今後の経済協定の在り方に変化が見られている。本研究では、かかる現象の内実と意義を分析するために、①貿易協定及び投資協定における例外条項や公正衡平待遇規定の展開といった伝統的な議論を再考し、②現代的「経済と環境」論を支えるレベル・プレイング・フィールド論、経済協定における持続可能な開発概念の包摂過程の理論的分析に努める。これらを通じて、環境価値の包摂に伴う経済協定の性質論の変化を把握し、今後を展望する材料とする。
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| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度は本研究の初年度であることから、各自が個別に研究に従事し、次年度以降の共同研究のための基礎を整えた。具体的な成果は以下の通りである。 阿部は、従来の投資ルールや投資仲裁制度における環境問題への対処に限界があることについて、既存の国際投資協定上の例外条項の規定ぶりや環境関連事例における仲裁判断の分析・整理、及び上訴制度や常設の投資裁判所の設立等の投資仲裁改革の分析も行った。 関根は、2024年度に「WTO/貿易協定における気候変動訴訟の現在地と未来」有斐閣Onlineロージャーナル(2025年2月)を執筆し公表した。これは、WTOの中で気候変動訴訟と位置付けられる訴訟が増える一方で、伝統的な貿易との対立構造で議論が展開される限界を指摘すると同時に、自由貿易協定(FTA)で現代的な非経済的事項を巡る理論構築の萌芽が確認されることを明らかにした。本成果は環境問題が貿易協定の中で「周縁的価値から中心的価値へ」と変容している態様を示している点で、本研究における重要な実例を提示するものと位置付けられる。 平見は、EUの環境規制を素材に、単独主義的な国内(域内)規制が近年多用されるようになった背景を考察するとともに、国家の一方的規制が既存の国際経済法にいかなる影響を及ぼすのかを考察した(成果として、平見健太ほか「EU規制政策の最前線―単独主義の再興と国際経済法のゆくえ―(実務家ワークショップ)」日本国際経済法学会第34回研究大会、2024年11月17日、高崎経済大学。2025年度に論文として刊行)。 猪瀬は、環境と投資紛争の観点から再生可能エネルギー政策の変更に対する投資仲裁事例について整理を進め、スペイン事例について仲裁判断の分析を行った(成果として外務省国際経済紛争解決研究会において研究報告を行い、論文執筆を予定している)。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究が、貿易協定の中で環境問題が「周縁的価値から中心的価値へ」と変容している様子を解析するものであるところ、関根が2025年2月に公表した論文はそれを部分的に描写するものである。しかし、当該論文は、WTOにおいて環境問題が依然として周縁的価値と位置付けられていることの明示に力点が置かれており、WTOにおける変化の兆しやFTAにおける動向は示唆的な分析にとどまっている。そこで、今後はWTO外で、いかなる経緯で中心化が実現されているかの解析に取り掛かる予定である。 猪瀬が主に担当している投資分野における環境政策の変更と投資協定の規定を巡る過去の投資仲裁判断の分析については、一定の成果があるが、環境政策と投資協定上の義務との関係について整理するまでには至っておらず、やや遅れている状況である。阿部が担当する環境問題に対応した投資ルールの在り方や投資仲裁の改革論に関しても、環境価値の包摂に伴う国際投資協定の性質論につなげることはできておらず、進捗状況はやや遅れている。 以上のような個人による研究に加えて、全体会合を通じて研究に関する意見交換を予定していたが、これについては実現できていないため、2025年度に実施することを予定している。
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| Strategy for Future Research Activity |
阿部は、国際投資協定における例外条項などの環境関連規定のさらなる分析・整理と、投資仲裁改革における国家の規制権限論などの検討を通じて、国際投資協定の性質論の研究を深める予定である。 関根は、2025年2月に公表した論文において、WTO外における環境価値の中心化を示唆したが、概略的な分析にとどまったため、その詳細な研究を実施することを予定している。また、具体的な環境関連規定の動向のみならず、それらが拡大的に導入されている背景的な事象や論理についても分析を試みる。その際、WTOにおける従来の議論と対比させることで、国際社会において貿易と環境(あるいはそれ以外の非経済的価値)の相互関係に関する理解が変容し、それらが統合されていく経緯を明らかにする。 平見は、引き続き国家の単独主義的な環境規制に着目し、国際紛争を惹起しがちなこうした一方的規制を、国際経済法(実体法と手続法の双方を含む)がいかに制御しうるかを考察する。 猪瀬は、投資仲裁判断の分析を継続し、環境政策と投資協定上の義務との関係について、とくにEU法上の環境関連の加盟国義務に基づく政策変更と関連する仲裁事例の整理・分析を行い、課題や問題点の明確化を進める。 2025年度以降は、これまでの成果と、以上のような今後の課題を踏まえて、相互の研究の相乗効果の実現や、共同研究としての一貫性の確保に努める。すなわち、研究会の実現や、意見交換の場を増やす予定である。経済協定における環境の位置づけについては、本研究参加者の間でも多様な意見が存在しており、意見交換を通じた新たな見識が生まれることが期待される。
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