| Project/Area Number |
24K04921
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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| Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 雅敏 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (00201012)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 充 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10176901)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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| Keywords | 空間経済学 / 集積 / 分散 / 技術進歩 / 公共財 / 環境 / 消費の環境外部性 / 公共財の自発的供給 |
| Outline of Research at the Start |
長い間、空間経済学の既存文献は住民の効用が私的財消費のみに依存すると仮定してきたので、公共財の一つである環境が企業と労働者の地域間移動の重要な要因であるにもかかわらず、空間経済への影響を分析してこなかった。このため、空間経済に影響を与える環境の地域間格差と生産物・要素の地域間移動の相互依存関係が考察されてこなかった。地球温暖化や海洋汚染などの地域間スピルオーバー効果をもつグローバル環境問題の解決のためには、この関係の分析は必要不可欠である。本研究は消費と生産の外部性による環境悪化を住民が相殺する新しい空間公共経済モデルの中で、輸送と環境の技術進歩が空間経済に及ぼす長期的な効果を検討する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度における研究計画である関連分野(新経済地理学・公共経済学・環境経済学・理論経済学)の文献調査・研究を行い、消費者と企業が地域間を移動する空間経済の中で、公共財である地域環境が人口・産業の集積や分散に与える影響と、輸送・環境の技術進歩が空間経済均衡に及ぼす効果を分析可能にする「空間公共財の一般均衡モデル」を定式化した。また、熟練労働者の地域間比率が一定であるこのモデルにおける短期空間均衡の特徴を明らかにした。定式化された具体的なモデルは以下の通りである。 1.環境の地域間格差と生産物・要素の地域間移動の相互依存関係を分析可能にするために私的財のみならず、公共財特性をもつ環境が適切に組み込まれた。 2.モデルは家計部門と生産部門から構成され、前者は地域間移動可能な熟練労働者と不可能な非熟練労働者から成る。彼らは消費財と環境財を市場から購入し、消費財から成る私的効用と環境に依存する公的効用を享受する。他方、後者は熟練労働者と非熟練労働者を雇用して差別化された消費財を生産する独占的競争企業と非熟練労働者のみを雇用して同質な環境財を生産する完全競争企業から成る。 3.地域環境は住民の消費外部性により悪化するが、彼らは環境財を自発的に購入することで環境を改善する。 このモデルにおける各地域における熟練労働者の賃金水準と環境水準から成る短期均衡条件を導出し、この条件から各地域の物価と代表的住民の短期均衡効用水準の特徴が明らかにされた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画であった「空間公共経済学」に関連する既存文献の調査・研究と空間経済の一般均衡モデル作成が予定通りに行われた。本研究における研究課題は以下の4つである。 課題1:空間均衡はいかなる特徴を持つか?、課題2:輸送の技術進歩は空間均衡へいかなる影響を及ぼすか?、課題3:環境の技術h進歩は空間均衡へいかなる影響を及ぼすか?、課題4輸送と環境の同時技術進歩は空間均衡へいかなる影響をを及ぼすか? 初年度ではあったが、課題1に対する分析がすでに行われたので、当初の計画以上に研究は進んでいる。分析結果は、短期空間均衡では空間公共財をもつこのモデルにおける地域間移動可能な熟練労働者の各地域における効用水準は環境水準と物価水準に依存し、「名目賃金」から独立であることを示す。 公共財のない伝統的な空間経済モデルでは熟練労働者の均衡効用水準は実質賃金(名目賃金÷物価)のみに依存するから、この分析結果は既存文献にはない全く新しい結果である。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究計画の初年度では、地域住民の消費の外部性により環境水準は悪化するが、彼らが環境財を自発的に購入することで地域環境を改善する空間公共財の一般均衡モデルが定式化され、熟練労働者の地域間配分比率が一定の短期空間均衡では各地域の熟練労働者の効用水準は物価と環境水準に依存することが示された。 今後の研究は、熟練労働者が短期効用水準の地域間格差に反応して最大の効用水準をもたらす地域へ移動する長期における動学分析と、この移動が終わる立地均衡を分析することで残る課題2~4の検討を行うことである。 動学分析は熟練労働者が1地域に全員集まる完全集積立地均衡、2地域に均等に集まる完全分散立地均衡、および2地域に不均等に集まる不完全分散立地均衡の安定・不安定性を分析するために必要である。これらの立地均衡の安定・不安定性は、モデルのパラメータである輸送と環境の技術進歩の水準に依存するため、安定・不安定性の検討はバイファケーション(分岐)分析を基にして行われる。 本モデルではバイファケーション分析は定性的・理論的に可能であるが、分析結果を定量的・実証的に検証するための数値シミュレーションを行う。 上記の空間公共経済における長期立地均衡の動学分析とバイファケーション分析を推進方策として、今後は計画されている課題2~4の研究を行う予定である。
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