| Project/Area Number |
24K07873
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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| Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
太記 祐一 福岡大学, 工学部, 教授 (10320277)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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| Keywords | ヒッポドロム / コンスタンティヌス1世のフォルム / バシリケ / テュケー / ヘリオス / コンスタンティヌス1世 / デーモス / コンスタンティヌポリス / 『儀典の書』 / 『コンスタンティヌポリスのパトリア』 / 公共空間 / ビザンティン建築 |
| Outline of Research at the Start |
本研究はビザンツ帝国の首都コンスタンティノポリス(現在のイスタンブル、英語ではコンスタンティノープル)を舞台に、古い時代において人々が既存の建築作品とどう向き合ってきたのかを、文献史料から迫っていくものである。 都市を構成する公共性の高い空間、広場、街路、そしてヒッポドロム(馬車レースの競技場)に注目し、10世紀の史料(宮廷儀式をまとめた『儀典の書』、都市にまつわる説話集『コンスタンティヌポリスのパトリア』、その他)から、古代の建築的モニュメントに関する言説を拾い出し整理する。そして中世の実情を明らかにした上で、中世の人々が使い手として古代のモニュメントにどう接していたのかを読み解いていく。
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| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度の研究実績としては、まずコンスタンティヌポリス創建記念祭をはじめとする祭典の分析があげられる。コンスタンティヌポリスの建築モニュメントのうちコンスタンティヌス1世のフォルムに言及している部分については、すでに2023年度に『儀典の書』や『コンスタンティヌポリスのパトリア』などの資料の記述の分析をおこなったが、創建記念祭はフォルムだけではなくバシリケ(公共のホールと広場の複合施設)とヒッポドロム(馬車レースのサーキット)も併用しておこなわれる。昨年度は『コンスタンティヌポリスのパトリア』を中心に、6世紀に書かれたヨアンニス・マララスの『年代記』と作者不明の『復活祭年代記』において、関連する記述を抽出し読解をおこなった。その結果、4~6世紀においてフォルム、バシリケ、ヒッポドロムを結びつける儀式の実態を明らかにし、施設間にある種の宗教的ないし精神的な紐帯が存在した可能性が指摘できた。また都市計画的な視点から見たときに、これらの施設が配置上深い関連をもつ可能性も指摘することができた。さらに太陽神ヘリオスと都市の守護神テュケーという異教の神々が繰り返し言及されることも発見した。以上は[研究目標②および③]の関連する建築モニュメントに関する文献調査に該当する。 これに対して[研究目標①]『儀典の書』の記述に関する作業は、残念ながらまだ成果が出ていない。関連する文献を収集がおおむね完了し、現在は既往論文の整理と研究状況の確認を行っている最中である。 以上に加えて2025年3月には、現地において簡単ではあるが巡検をおこない、史料の記述と現況を対照させた。特に変化にとんだ敷地と周辺の微地形について、先行研究がほとんど注意を払っていない点を確認できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自己点検において「やや遅れている」と判定した理由は以下の通りである。 まず年次計画の進行状況と比較検討する。当初、2024年度の計画として3つの目標を掲げていた。最初に掲げたのは『儀典の書』の読解と分析であるが、これが一番、進捗状況が捗々しくない。その理由は作業方針の変更にある。当該史料におけるヒッポドロム関連の記述を読み進めていくと、予想以上に内容が複雑で錯綜していることが明らかになった。そこで当初、史料の読解後に予定していた既往論文の調査・整理・レビューを優先し、研究状況を正確に把握してから史料と向き合うよう、作業の順番を変更した。現在、研究状況を整理し確認しており、今後、それをもとに史料の読解を進めていく。このため当初2番目に置いていた、関連する建築的モニュメントの文献調査は、先述の研究状況の調査と連動して優先的に行われ、必要な情報はおおむね抽出できたといえる。ただし、情報の整理が研究ノートレベルにとどまっている部分もまだ多く、学会発表などで活用できる資料集の作成という当初のイメージよりは遅れている。最後のテーマである『パトリア』など説話系史料の整理と読解については、年代記の記述を確認するなど、おおむね予定通りに進行している。ただし成果の取りまとめとしては、やはり研究ノートレベルのものが少なくない。 本研究は3年間の研究目標として、『儀典の書』のデーモスに関連する記述の整理と、関連するモニュメントに関する言説の変遷の整理を、設定している。この2軸から検討するならば、関連する建築的モニュメントに関する作業は、おおむね順調だが、『儀典の書』のデーモス関連の記述の関する作業は、遅れており、総合的にも、やはり「やや遅れている」と判定せざるを得ない。
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| Strategy for Future Research Activity |
年次計画において2025年度は、関連する史料の読解と分析、建築的モニュメントごとの言説の比較検討、デーモス関連の史料の整理と読解の3つが目標となっている。これを踏まえ、本研究の今後の推進方策を考えていく。 まず関連する史料の読解と分析だが、早急に対応が必要なのは『儀典の書』におけるヒッポドロム関連の記述の分析である。ダグロンをはじめとする基本的な先行研究の要点を整理したうえで史料の読解に取組み、分析の精度を上げていきたい。次のモニュメントごとの言説の比較検討であるが、コンスタンティヌス1世のフォルムについてはすでに主だった作業が終わっているので、論文発表に向けて準備を進めたい。バシリケに関しては、昨年度、新たな気づきとなったヘリオスやテュケーといった異教時代の神格との結びつきが深いので、関連する研究を調査し言説の分析の精度を上げていきたい。最後に『儀典の書』におけるデーモスだが、宗教儀式関連の記述はおおむね整理が終了しているので、世俗儀式についても整理を進めていく。 さて来年度はこれらを統合して、デーモスを軸とした儀式と関連する建築的モニュメントをめぐる言説の比較検討をおこない、最終的には復元案の検討をおこなう計画である。そこで建築的なモニュメントの正確な記述は、来年度への布石として重要であり、言説の分析と同時進行で進めていきたい。ヒッポドロムやフォルムなどは、考古学的調査の最新成果を踏まえ研究状況を整理していく。一連の施設の中で建築的な情報が最も少ないのはバシリケだが、比較対象として同時代の関連施設の調査をおこない、分析の手掛かりとしたい。特にドイツ、トリーアのコンスタンティヌス1世のバシリカは現存する部分も多く、優先的に取り上げていきたい。
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