| Project/Area Number |
24K08400
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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| Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
上田 将史 北里大学, 理学部, 講師 (60778611)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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| Keywords | チアントレン / クマリン / 折り畳み構造 / 室温リン光 / 発光性結晶 / スピン軌道カップリング / ラクトン |
| Outline of Research at the Start |
チアントレンを基盤とした折り畳み式ORTPの開発に向けて,以下のI-IIIによって,高効率化されたリン光発光を示す有機リン光色素を合成する. [I: チアントレンの折り畳み骨格とカルボニル基の置換位置・数の影響に関する調査] [II ラクトン骨格を導入したπ共役型剛直分子による発光効率への影響に関する調査] [III: 高次拡張体への展開] 希釈溶液中や単結晶,薄膜の発光挙動について調査し,単分子における蛍光・リン光発光機構について実験・理論の両面から評価を行い,折り畳み式ORTPのSOC活性化に関する有用性を実証し,実用化に向けた理論を確立する.
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| Outline of Annual Research Achievements |
室温下において,強いリン光発光を示す有機化合物は,枯渇性遷移金属類を用いた室温リン光材料の代替物として注目されている.一般的な有機化合物は,効率的なリン光発光に必要な摂動とされるスピン-軌道カップリング(SOC)が弱いために,強い室温リン光を示すことはほとんどない.純有機室温リン光材料(ORTP)の実用化に向けて,効率的なSOCを促進することのできる合理的な分子設計が要求されている.本研究では,チアントレンの「折り畳み構造」に基づくSOC誘起効果に着目し,カルボキシル基やラクトン部位を組み込んだ誘導体を設計することで,「折り畳み構造」と「カルボニル基」の組み合わせによるSOCの高効率化に加え,π共役の拡張が与える剛直性によって非放射減衰過程を抑制することのできる「高効率リン光発光を示す折り畳み式ORTP」を提案し,単分子・分子集積状態における発光特性について調査を行い,その構造特性相関について明らかにする.本年度は[1]「カルボキシル基を組み込んだチアントレン誘導体の合成」と[2]「クマリンが縮環したチアントレン誘導体の合成」について主に研究を進めた.[1]については種々の誘導体の合成を検討している段階である.一部のカルボキシル基を有する誘導体の前駆体については合成が完了しており,加水分解反応によって,カルボキシル基を有するチアントレン誘導体の合成を達成する予定である.[2]についても,クマリンの6,7位にチアントレンを縮環した分子の合成に成功しており,分子構造ならびに溶液・固体状態における発光特性について明らかにすることができた.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チアントレンを基盤とした折り畳み式ORTPの開発に向けて,本年度は[1]チアントレンの折り畳み骨格とカルボキシル基の置換位置・数の影響に対する調査と[2]ラクトン骨格を導入したπ共役型剛直分子による発光効率の向上に関する2つの課題に対する調査について、まず標的化合物の合成から始めた.[1]の合成については,二つのエステル基を有するチアントレン誘導体の合成に成功し,分子構造を単結晶X線構造解析から決定することができた.置換位置や数の異なる誘導体を合成するために,前駆体の合成の調製ならびに合成条件の最適化を現在行っている.[2]の合成については,種々の条件により,6,7-ジフルオロクマリンと1,2-ベンゼンジチオールとの芳香族求核置換反応によって目的とするチアントレンにラクトン環が縮環した目的化合物を比較的良好な収率で得ることに成功した.化合物の最終的な分子構造を単結晶X線構造解析から決定することができ,チアントレン部位で約130度の二面角を有する折り畳み構造であることを明らかにできた.溶液では蛍光発光を示しており,溶媒の極性に依存したソルバトフルオロクロミズムを示した.これはクマリン誘導体と同様に,励起状態において電荷分離構造をとっているためだと考えられ,理論計算もこれを強く支持した.また,粉末固体をすりつぶすと緑色の発光を示し,単結晶においても水色発光と緑色発光を示す結晶多形が得られた.これは分子配列の違いから生じるものと現在のところ考えている.リン光発光ではなかったものの,興味深い性質が得られているため,構造異性体の合成と並行して,さらなる調査を進めていく.
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| Strategy for Future Research Activity |
チアントレンを基盤とした折り畳み式ORTPの開発に向けて,[1]チアントレンの折り畳み構造とカルボキシル基の置換位置・数の影響に関する調査,[2]ラクトン骨格を導入したπ共役型剛直分子による発光効率の向上に関する調査については,引き続き,誘導体の合成,分子構造・結晶構造の解明,溶液・固体状態における発光特性について明らかにしていく.[1]については,置換位置の異なる誘導体を合成するために,転位反応を抑制できるような前駆体の位置選択的な調製が不可欠である.したがって,硫黄源を用いたカップリング反応やジアリールジスルフィド類の酸化反応を適用することで,正確で高収率な合成を目指す.[2]については,構造異性体の合成を完了させ,現在得られている知見との擦り合わせを行なっていく.また,イソクマリン類が縮環した誘導体の合成も行い,構造・特性相関の深掘りを行なっていく.また,これらの知見に基づいて,[3]高次拡張体への展開を目指していく.高次拡張体は,ラクトン部位の拡張に基づいた剛直性の向上や,カルボキシル基の増加に起因した分子内・分子間水素結合などの相互作用の強化に期待できることから,固体(結晶状態)における高効率な発光を実現できることが期待できる.これらの合成を達成し,性質を明らかにしていくことで,複合的かつ協奏的に働く相互作用が発光機構に対してのような影響を与えるかについて調査を行なっていく.
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