| Project/Area Number |
24K13480
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 58030:Hygiene and public health-related: excluding laboratory approach
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| Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
今村 善宣 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (80796160)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 ライ 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所 がん医療研究部, 主任研究員 (00867533)
田栗 正隆 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20587589)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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| Keywords | リアルワールド研究 / 腫瘍 / リアルワールドデータ |
| Outline of Research at the Start |
標準治療の確立にはランダム化比較試験(RCT)での検証が大原則であるが、外的妥当性への懸念から、リアルワールド研究への注目が高まっている。一方、従来のコホート研究や医療ビッグデータ解析にも症例数や解析内容に制限があり、複数のデータベースの連結が重要となってきている。そこで我々は、日本最大の医療グループである徳洲会グループのカルテ情報・院内がん登録情報・DPC対象データを患者個人レベルで統合した大規模データベース構築し、RCTを補完するエビデンスを創出することとした。本研究成果により、がんの予防や治療に対する科学的な根拠を新たに提供する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
R6年度は、徳洲会グループの電子カルテ・DPC・院内がん登録を連結したリアルワールドデータベース(TREAD)を用い、肺癌・消化器癌・乳癌などを対象に多角的な実臨床解析を実施した。研究計画に基づき、治療パターンの変遷、ランダム化比較試験の外的妥当性の検証、施設間格差、COVID-19や循環器合併症の影響評価など、複数のサブプロジェクトを計画的に進行させた。特に各がん種における診療実態とアウトカムの関係を明らかにすることで、国内におけるがん治療の標準化と地域間格差是正に貢献し得る知見を得た。 第22回日本臨床腫瘍学会(JSMO2025)では5演題を発表し、そのうち4演題が一般口演に採択された(MO40-5, MO49-1, MO54-1, MO55-6, P55-6)。EGFR変異陽性肺癌では、初回治療選択および社会的要因(公的扶助)と生存との関連性を明らかにし、消化管癌では動脈血栓塞栓症と予後との関連を示した。これらの研究成果の一部は、すでに国際英文誌に掲載されており(例:Mol Clin Oncol 2024; 21(1): 73.)、今後の科研費成果としての蓄積にもつながる内容を含んでいる。 さらに、COVID-19流行前後の乳癌診療の変化や、乳癌・悪性リンパ腫における抗がん剤関連心筋障害の発生頻度と予後への影響についても、定量解析に着手している。また、データマネージャーを新たに雇用(研究助成外)し、抽出・クリーニング工程の精度と再現性も大きく改善された。以上より、研究基盤の整備と成果発信の両面において、初年度として計画通りの進捗と意義ある成果が得られたものと判断される。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R6年度は、研究計画において初年度に着手予定であった肺癌、胃癌、消化管癌の解析をすべて実施し、全国学会での発表および国際誌への論文化を通じて具体的な成果を多数公表できたことから、全体として「概ね順調に進展している」と評価できる。 非小細胞肺癌については、EGFR-TKI間の治療比較や公的扶助の影響に関する解析を完了し、JSMO2025では一般口演2演題を発表した。これらの研究成果の一部は既に国際英文誌に掲載されており、今後の本研究課題における発展的な解析の基盤となっている。現在は、新たに小細胞肺癌を対象としたデータ解析にも着手しており、解析対象のがん種を順次拡大している。一方、免疫チェックポイント阻害薬併用レジメンの有効性に関する検討は、PD-L1発現値が非構造化データであることから抽出に難航し、次年度以降に解析を繰り越す形となった。胃癌に関しては、COVID-19パンデミック前後における診断状況や病期分布の変化を定量的に評価し、国際誌への投稿を完了している。現在は乳癌への横展開を進めており、特に検診機会の変化やステージシフトに注目した解析を継続中で、年度内の成果公表を目指している。消化管癌では、心不全や血栓塞栓症といった循環器合併症の有無が予後に与える影響を解析し、JSMO2025にて一般口演2演題として発表、現在は複数誌への投稿を準備している。 さらに、全がん種を対象とした解析体制の構築に向けて、遺伝子変異・PD-L1・心毒性指標等の非構造化データ抽出アルゴリズムの整備を進めており、R7年度からの多施設横断的解析に備えた環境が整いつつある。 これらの進展により、初年度としての目標はおおむね達成され、研究体制の基盤強化と成果創出の両面で順調な滑り出しが得られた。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえ、今後は研究計画に沿って、解析対象の拡大とテーマごとの深化を図る。R7年度は小細胞肺癌ならびに乳癌を対象とした解析に着手し、治療パターンや施設間格差などを明らかにする予定である。また、COVID-19の影響については、胃癌に続き、乳癌診療における診断時ステージや治療内容の変化を定量的に検討し、年度内の成果発表を目指す。これらのがん種横断的な解析を通じて、診療の質や地域格差に関する新たな知見を導出することが期待される。 一方、免疫チェックポイント阻害薬併用レジメンの有効性に関する検討は、PD-L1発現値が非構造化データにとどまっているため、現時点では症例抽出が困難であり、R6年度以降に解析を繰り越すこととなった。この課題への対応として、遺伝子変異やPD-L1を含む非構造化情報の半自動抽出体制の整備を進めており、年度内に主要施設での収集体制を完成させる予定である。これにより、分子生物学的背景と治療選択・予後との関連をリアルワールドデータで解析可能な環境が整う見通しである。 心血管合併症に関する解析としては、新たに乳癌および悪性リンパ腫における抗がん剤関連心筋障害をテーマに設定し、データ抽出を終え、データ解析に着手している。これについても年度内の成果発表を予定している。 さらに、解析精度と信頼性の向上に向けて、データマネージャーの継続的配置と記録整備体制の標準化を継続し、データ品質の向上に取り組んでいる。研究成果の社会実装に向けては、徳洲会グループ内での定期的な情報共有や臨床現場へのフィードバック体制を強化し、現場に根差した知見の循環を実現する。あわせて、国際誌への継続的な投稿を通じて、リアルワールドエビデンスの国際的発信を推進し、がん診療の質向上と政策形成への貢献を目指す。
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