Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
超伝導は電子の間に生じる引力によって電子対が形成され、電子対が凝縮した状態である。 電子対が弱結合の場合はBCS理論でよく理解されるが、強結合となるとBECが物理を支配する。この電子対の凝縮様式の変化はBCS-BECクロスオーバーと呼ばれ、超伝導の基礎的理解には不可欠な概念である。近年、分子性超伝導体の一部でBCS-BECクロスオーバーの観測が提案された。分子性固体は単純で電子状態を有し、純良な単結晶が得られることから、BCS-BECクロスオーバーに特有の擬ギャップ現象の本質的理解に挑戦できる。本研究は、分子性超伝導体の系統的な実験的精査から超伝導状態の電子対形成に関する基礎的な理解を深める。