Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
がんの診断と治療を併せて行うセラノスティクスは,同時性と精確性から,副作用の低減や治療期間の短縮が期待できる.特に,光音響イメージングと光熱療法の組合せは,近赤外光を熱に変える薬剤(光熱変換体)1つで造影・治療が可能なため,複雑な薬剤設計が不要になると考えられる.本研究では新たな光熱変換体として,酸化還元により近赤外吸収の強弱が変化するジラジカル金属錯体に注目する.本錯体に,がん細胞のミトコンドリアへ局所的に送達できる設計を施し,細胞内還元剤を利用した腫瘍選択的な造影,ミトコンドリア内での発熱に伴う機能障害,酸化ストレスの誘引といった細胞応答との協働的な治療を目指す.