| Project/Area Number |
24K21535
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 大介 九州大学, 理学研究院, 教授 (30452741)
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| Project Period (FY) |
2024-06-28 – 2026-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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| Keywords | 人工細胞質 / 生体分子機械 / 非平衡揺らぎ / マイクロレオロジー / アクティブガラス / 非平衡動力学 / 細胞内混雑 |
| Outline of Research at the Start |
細胞内は様々な生体分子で溢れており、代謝が停止するとガラス化する。本研究では、細胞内の非平衡プロセスを模倣する人工細胞質の作製と、その中でのメソスケールの非平衡動力学の観察を行う。具体的には、半透膜を使用して外部環境とエネルギー物質や代謝産物の交換を行いながら、混雑状態と代謝環境を保つ人工細胞質を作製する。この細胞質内での非熱的な揺動やレオロジーの計測とモータータンパク質の1分子計測を通じて、メソスケールの非平衡動力学が、細胞内の生体分子機械が効果的に動作する理由を調べる。本研究は、ミクロな分子レベルではなく、メソスケールの非平衡動力学の観点で、生命の理解を深める。
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| Outline of Annual Research Achievements |
現実の細胞は外部環境の変化に自律的に適応する複雑系であり、その内部状態を容易に制御できない。細胞と1分子計測などのin vitroモデル実験のギャップが生命の謎を解く上での課題である。そこで、細胞抽出物を用いて細胞内の非平衡環境を模倣した試料(人工細胞質)を実現することを目指している。具体的には、半透膜を介して外部環境とエネルギー物質や代謝生成物の交換を行い、試料内の代謝環境を維持する装置を開発した。 この代謝維持装置の性能確認のために体積分率50%を超える高い濃度で大腸菌を封入したところ、活発な代謝活動を伴う遊走状態を維持することに成功した[投稿準備中]。MR計測の結果、鞭毛の回転が停止した大腸菌の懸濁液が混み合いによりガラス化するのに対して、遊走能を維持した大腸菌の懸濁液は臨界ジャミング状態に類似した性質を示すことを見出した。このアクティブガラスと名付けた試料内では、非平衡系に特有の時空間相関を持つ乱流的・カオス的な揺らぎが生じており、こうした非熱揺らぎにより流動化している。すなわち、開発した代謝維持装置を用いることで、混み合った非平衡系という力学的な側面において、細胞内の環境に類似したモデル系が得られた。 自己遊走する大腸菌は、酵素反応に伴い自ら変形・運動することが想定される酵素分子のスケールアップモデルである。乱流的・カオス的な揺らぎの下で臨界ジャミング状態に類似した性質を示すことも似通っているために、細胞内に特有の不可解な創発現象の解明に資するモデル系が得られた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャミング状態まで濃厚化させた大腸菌は、鞭毛の回転を維持しつつ非平衡揺らぎを発生させていた。これは、開発した代謝維持装置が有効に機能している証拠であり、本プロジェクトが概ね順調に進展していることを示している。また、濃厚な遊走大腸菌懸濁液中では、臨界ジャミング状態に類似したレオロジー的性質(6桁にわたる単一べき則的なレオロジー)が観測された。この性質は、これまでに研究代表者が細胞内細胞質において見出してきたものと完全に一致しており、代謝維持装置の性能テストとして実施した今回の研究が、思いがけず細胞質のスケールアップモデルとしても極めて有用であることが明らかとなった。 このスケールアップモデルを基盤に、研究者は次のような仮説を提唱している。すなわち、アクティブな混み合い系が臨界的な力学特性と非熱的揺らぎを示す背景には、モーターたんぱく質をはじめとする生体高分子機械が機能する際、周囲媒質への力の伝達よりも、生体高分子機械自身の変形や変位(モーターのステップ)が優先的に制御されているという特性がある。このとき、系の流動化が進むにつれて、生体分子機械から周囲媒質への力やエネルギーの伝達効率は低下するため、アクティブな混み合い系は液体と固体のちょうど境界に相当する状態に流動化する。 さらに、ジャミング転移現象における秩序変数は、混み合い要素間の結合(接触)数であり、ジャミング臨界点ではこの数が空間次元の2倍に達することが知られている。通常のガラス状態では、熱的な揺らぎにより実効的な接触数が臨界数を超えて系が固化しているが、非熱的な擾乱によって結合が不安定化し、失われることで接触数が臨界値に近づき、ジャミング転移に類似した非平衡状態が出現すると考えられる。 以上より、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
開発した代謝維持装置の性能は、遊走大腸菌懸濁液を用いて確認された。今後は、①この細胞質のスケールアップモデルを活用してアクティブ混み合い系の本質的理解を深めるとともに、②代謝維持装置内に、細胞内濃度に相当するまで濃縮した細胞抽出液を配置し、代謝活動を継続して行う均質な人工細胞質の作製を目指す。 作製した人工細胞質では、代謝活動や信号伝達機構(解糖系、転写・翻訳などセントラルドグマのプロセス)を系統的に操作しながら、メソスケールの非平衡動力学を観測する。これにより、細胞内に特有な非平衡環境の実態を解明し、それが発現する条件や機構の解明を進める。 これまで10年以上にわたる試行錯誤の末、アフリカツメガエルの卵、大腸菌、HeLa細胞の抽出液を用いて、ATPを供給しながら人工細胞質中でマイクロレオロジー計測を行う技術が確立された。ATPの加水分解反応は活発に進行しているにもかかわらず、メソスケールの非熱的揺らぎや顕著な流動化現象は観測されず、むしろガラス状態に特徴的な遅い動力学(エイジング)が促進された。この結果は、メソスケールの揺らぎが流動化を促進する可能性を再度示唆するものであった。 そこで今後は、メソスケールの揺らぎを生成できる人工細胞質の構築を目指す。具体的には、ATPに加えて多様な生理活性物質(アミノ酸、ペプチド、核酸およびそれらの代謝中間体)を外液から供給し、さらに解糖系や転写・翻訳過程を意図的に進行させることで、細胞骨格やモーターたんぱく質による力生成を促進し、力学的擾乱を発生させる計画である。
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