Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究は20世紀世紀転換期オーストリアにおいて〈精神的な愛〉を主題とした文学・思想 を対象に、愛における自己と他者の関係を析出することを目標にする。プラトンに淵源し、ヨーロッパ文学を貫いて現れるエロースは、他者をいわば自己の超越のための手段として扱う自己中心的な愛と見なされてきた。だがそもそもそうした超越的な自己はなぜ、絶対的に他者を必要とする愛のなかで生まれてくるのか。本研究では詩人R・M・リルケ、思想家O・ヴァイニンガー、作家R・ムージルの三人を取り上げ、従来自己中心の愛とされてきた〈精神的な愛〉を、自己と他者の相互作用に基づいた動的な営みとして捉えなおす。