Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
日本の六十年代以降の歴史小説研究は、長年にわたり歴史学の研究者の関心を集めてきた。しかし、今までの研究では司馬遼太郎をはじめ、大岡昇平といった個別の作家の作品に焦点を当て、それぞれの語りや歴史意識(もしくは歴史観)を考察することが一般的であり、同時代の歴史小説家の関係を明らかにし、「日本戦後の歴史小説」というジャンルとしてアプローチする研究がなかった。そのため、本研究は個別の作家ではなく、体系的に歴史小説を研究することを可能にするため、また、テキストにおける時代と空間の設定に注目し、共通の語りの特徴を明らかにするために、フランスなどの文学理論を参照し、歴史小説向けの理論的枠組を構築したい。