Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究の目的は日本統治期の台湾を対象に、植民地の言論空間がいかに編制され、内外の政治現象と相互作用し、どのような公共性を有したか解明する点にある。在台軍部と在台日本人右派が総督府体制下で対抗的に発した非主流言説に新資料から迫り、排外的言論空間が希求されたことを示す。また、台湾人青年層が動員された軍事経験の言説に焦点を当て、漢族系台湾人中心の非武装の反植民地闘争では主体となり難かった先住民族も含む言論空間を跡付ける。植民地軍や先住民族というメディア史の空白を埋め、宗主国在住の日本人とは異なる「植民地日本人」を析出することで、クレオールが存在した西洋帝国と比較可能な理論構築に資する知見をもたらす。