Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
機械技術が向上すると、機械を支える構造材である鋳物に対する要求水準が高まる。第一次大戦前後から顕著になるのが強靭性、耐摩耗性などの機能性を備えた材質に対する要求であり、こうした鋳物づくりにはキュポラと鋳造工学の知識が不可欠であった。こうした分野では大工場の役割が次第に高まった。その一方で、鋳物産地に集積する中小工場は在来の小型溶解炉を使い、高度な材質が要求されない製品分野を中心に、職人的知識に依拠した生産活動を行っていた。こうした中小工場の存在は産業発展の「遅れ」と捉えられてきたが、その貢献性は分散型生産組織によって多種多様な普通鋳鉄鋳物を低価格で提供することにあった。