Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
有機配位子で保護された金クラスター群は、原子に類似した電子殻構造と原子にはない構造自由度を持つ興味深いナノ物質であり、その安定性や諸特性は超原子の概念を用いて理解されてきた。しかし、重元素である金の物性に対して重要な影響を及ぼす相対論効果は、超原子の物性発現機構の解明や物性設計において見逃されてきた。そこで、本研究では気相光電子分光法と相対論的密度汎関数理論計算を用いて金超原子の電子構造に対する相対論効果を評価し、さらに相対論効果を制御する上で鍵となる構造因子を明らかにすることを目指す。本研究成果は、スピン軌道相互作用が重要な三重項光物性等の機能設計の基盤になると期待される。