| Project/Area Number |
24KJ0253
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| Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 国内 |
| Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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| Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土屋 地郎 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC2)
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| Project Period (FY) |
2024-04-23 – 2026-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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| Keywords | 深海底熱水孔環境 / 化学合成独立栄養細菌 / 亜酸化窒素還元 / 遺伝子発現 / 遺伝子組換え / 環境浄化 |
| Outline of Research at the Start |
深海底熱水孔環境には、深刻なオゾン層破壊物質かつ温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)を効率的に還元し無害化する微生物が存在する。これらの微生物は未開拓の海洋生物資源であると考えられるものの、そのN2O還元能を規定する要因は未だブラックボックスであり、それらの微生物を人類が利活用するには程遠い。本研究では、効率的なN2O還元を可能にする転写因子の特定とその作用機構の解明を通じて、熱水孔微生物の高いN2O還元能の根本にある遺伝子発現制御機構を理解し、そのN2O還元能を環境浄化に応用する基盤技術の開発を目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、深海底熱水孔環境から分離された微生物が保有する強力な亜酸化窒素(N2O)還元能を規定する分子機構を、転写制御の観点から理解するとともに、そのN2O還元能を環境浄化に利活用する基盤技術を確立することにある。1年目となる今年度は、1) N2O還元能が近縁種と比べ著しく高い好熱性細菌Nitrosophilus labii HRV44株とその近縁種を対象としたN2O還元能の再評価と遺伝子発現の種間比較解析、2) HRV44株の遺伝子変異株の作製に取り組んだ。詳細は以下の通りである。 1) 従来のN2O還元能の評価とは異なり、N2O以外の電子受容体を添加した培地で予め細胞増殖させ、N2Oを注加して消費活性を測定することで、N2O還元による増殖能の影響を低減した評価を可能にした。電子供与体である水素(H2)の消費やN2O呼吸による細胞増殖も評価した。さらに、同条件のN2O注加前後でRNA-Seq解析を実施し、HRV44株を含む計4種の遺伝子発現量を比較することで、HRV44株の高いN2O還元能を規定する要因を調べた。その結果、HRV44株のN2O消費はH2消費に依存し、そのN2O呼吸による細胞増殖強度は近縁種よりも強いこと、鍵酵素(NosZ)への電子伝達に関与するシトクロムcの遺伝子発現量がHRV44株では近縁種より高いこと、を見出した。また、各株のゲノム解析や共発現解析から、N2O還元に関与すると考えられる転写因子を予測した。 2) 遺伝子変異株のスクリーニングを想定してHRV44株のコロニー形成能を評価したところ、近縁種で確立されている平板培養法を改良した培地においてHRV44株もコロニーを形成することが確認された。これにより、HRV44株の特性に基づく組換え技術の確立に向けて実験基盤を整備することが可能と判断した。現在、使用可能なプラスミド候補の絞り込みを進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はHRV44株とその近縁種のゲノムおよび遺伝子発現の種間比較解析を進め、HRV44株の高いN2O還元能を規定すると考えられる機能や関与する遺伝子を推定することができた。また、HRV44株を対象とした遺伝子変異株作製に関して、遺伝子変異株の純化操作に時間を要しており、今年度計画していた遺伝子変異株を含むRNA-Seq解析の実施には到達できていない。しかしながら、既報の培地に改良を施した平板培地を用いることで、今後の実験に耐えうるHRV44株のコロニー形成能の確認や、プライマーの設計など、遺伝子変異株作製における基盤の構築を進めることができた。以上の点を鑑み、上記判断とした。
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| Strategy for Future Research Activity |
効果的かつ再現性のあるHRV44株の遺伝子変異株作製技術の確立を目指す。現在、プラスミド導入後の抗生物質によるスクリーニングや組換え体の純化において、いくつかの課題が残っている。これらの課題を解決するために、今後、抗生物質の濃度や平板培養条件などを再検討し、遺伝子変異株のコロニーが得られやすい方法を見出す。純化を達成した後は、遺伝子変異株のN2O還元特性や遺伝子発現を解析し、野生株と比較することで破壊した遺伝子のN2O還元における作用機序や影響度を評価する。また、一連の実験で野生株と比べN2O還元能が向上している遺伝子変異株を選定し、環境浄化に資する新たな微生物触媒の開発を目指す。
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