Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1924年にソビエト政権によって実行された民族・共和国境界画定によって中央アジアでは民族区分を基盤とした共和国が建国された。しかしこの時期、中央アジアでは民族以上に地域・宗教・文化に基づく帰属意識が根強く存在した。中央アジア住民の多層的な帰属意識はソビエト政権による「民族自決」の大義名分と政策、そして中央アジアの知識人による啓蒙をもとに民族への帰属意識へと集約されていった。本研究では以上を踏まえ、トルキスタン共産党機関紙『トルキスタン』に焦点を当て、ソビエト政権の意向と中央アジアにおける現地知識人の言説の関係性の分析を行い、中央アジアにおける民族概念の確立に向けた言論形成の詳細を分析する。