Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、東アジア仏教を理解する際にいまだに議論の前提とされることの多い、「中国→朝鮮半島→日本」の単方向の伝播という見方を離れ、三地域が相互に関連しながら思想が展開してきた様相を明らかにする研究である。そのための具体的な研究対象として、日本の仏教思想が中国に逆流入した事例である『観経疏顕要記破文』を扱う。本研究は『観経疏顕要記破文』の分析・理解を通じて、 当時の日本と宋の天台浄土教の思想傾向を把握し、後代の東アジアの天台浄土教の思想展開への影響を理解することをその目的とする。これにより、10-12世紀に東アジア諸地域がどのように相互に関連しながら仏教思想を展開していったのかを明らかにする。