Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、価値が多様化した社会において公教育で親切などの徳を教育することがいかに擁護可能かを考える。先行研究は、(有徳な生は幸福だとするアリストテレスの倫理思想に依拠し)多様性の時代でも徳の価値は普遍的だとして徳の教育を正当化するか、徳の価値は普遍的ではないとして徳の教育を諦めるかのどちらかに分けられる。だが実のところ、アリストテレスに依拠して徳の教育を擁護するのは論争的であるし、徳の価値を普遍的と認めずとも徳の教育の擁護の道は残されている。哲学者バーナード・ウィリアムズはこの道を示していると思われるため、本研究はウィリアムズの倫理思想の解明を通じて徳の教育を擁護する新たな方途を打ち出す。