Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
15~17世紀のヨーロッパでは、宣教師や貿易商、航海者たちが海外へ進出した。彼らは、各地で布教活動と交易を展開する傍ら、現地の職人たちに対して、ヨーロッパ製品を雛形とする調度品やカトリックの宗教具を注文した。そのひとつが、日本の「南蛮漆器」である。本研究では、作品の詳細な観察と史料の分析に基づき、南蛮漆器の様式変遷と制作環境の解明を試みる。さらに、ポルトガル人らがインドや中国で注文したとされる、南蛮漆器の類品を考察し、南蛮漆器との共通性および相違点を明らかにする。それによって南蛮漆器を相対化し、大航海時代の世界におけるひとつの現象として捉え直すことを目指す。