Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
スコットランド北部・北西部に位置するハイランド地方及び島嶼地域は古くからケルト系民族のスコティッシュ・ゲール人の多く住む地域であった。18世紀後半から19世紀にかけてこれらの地域では小作人の耕地からの排除が行われ、また19世紀半ばのジャガイモ飢饉も相俟って大量の人口が流出する。このようにこの地域では古くから存在した共同体が破壊され、帝国ブリテンの周縁部として位置付けられることとなったが、これに伴って変容した人々のアイデンティティの有り様を検討するのが本研究である。研究は文献史料調査をもとに、この地域に住む人々がどのように自己を表象したかに注目し、複合国家の「国民」の創出の過程を明らかにする。