Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
イスラームにおける代表的な神秘思想として、13世紀アンダルスの思想家イブン・アラビーに端を発する「存在一性論(wahdat al-wujud)」が挙げられる。この思想は、南アジアにも伝播して発展したが、その実態の多くはまだ解明されていない。本研究では、17世紀ムガル帝国で活躍し、後世に「第二のイブン・アラビー」と称されたムヒッブラー・イラーハーバーディー(1648年歿)に注目する。彼の著作や同時代人との論争の内容を分析することで、前近代南アジアにおける存在一性論の受容と発展、そして同思想をめぐる当時の動向を明らかにしたい。