Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
読本は、江戸中期以降(18世紀から19世紀)から明治初期まで出版され、年代によって「前期読本」と「後期読本」に分類される。一般に前期読本は短編で、後期読本は長編かつ勧善懲悪的であると特徴付けられるが、その特徴に当てはまらない作品も存在する。また、読本は中国明代の口語小説である白話小説から筋や趣向を摂取してきた。例えば『水滸伝』からの趣向の摂取は、前期読本と後期読本に共通して見られる。本研究では前期読本・後期読本両方の特徴を持つ作品を、『水滸伝』からの趣向の摂取に着目して分析することで、前期読本と後期読本を通時的に捉え直すことを目指す。