Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、明治末から太平洋戦争開戦の直後まで活躍した北原白秋の詩を研究対象としている。近代国家形成過程にあった白秋の活動時期には、各地の「方言」を特殊化することによる「標準語」の創出や、西洋の表音文字に追従する形での文字改良が行われた。本研究では、日本語を近代国民国家形成の手段としたこれら一連の動向を〈国語〉問題と呼ぶ。本研究は白秋を、1990年以降特に論じられてきたこの〈国語〉問題との関わりの中で捉え直すことで、詩的言語とナショナリズムの関係を明らかにするものである。また本研究は白秋の〈国語〉ナショナリズムを、初期から従来閑却されてきた愛国詩群にまで一貫するものとして定位する。