| Project/Area Number |
24KK0014
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| Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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| Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 部長 (10416555)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 亮 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (30770193)
藤田 晴啓 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 教授 (40366513)
舘内 魁生 東北大学, 埋蔵文化財調査室, 特任助教 (50987592)
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| Project Period (FY) |
2024-09-09 – 2028-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥20,930,000 (Direct Cost: ¥16,100,000、Indirect Cost: ¥4,830,000)
Fiscal Year 2027: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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| Keywords | 先史壁画 / 洞窟壁画 / デジタルツイン / GNSS / ガリシア / 装飾古墳 / 先史装飾墓 / 北西イベリア / AI解析 / GIS解析 |
| Outline of Research at the Start |
人類がはじめて埋葬空間を彩色壁画で飾った北西イベリアの装飾古墳の実態を解明するために、考古学・文化財科学の調査成果、年代情報、古墳の現状・復元の3Dモデリング、GNSS測位による位置情報化、画像解析と崩壊危険度分析等を統合したデジタルツインを構築する。そのネットワーク化によって、時間・空間情報を可視化したプラットフォームをスペイン側研究者と連携して共創する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は先史時代の彩色壁画を有する装飾古墳の考古学・文化財科学の調査成果、年代情報を高精度・高精細な3Dモデルに統合し時間・空間情報を可視化した4Dプラットフォームを共創する実践的研究である。北西イベリアの装飾古墳は人類がはじめて埋葬空間を彩色壁画で飾り、旧石器時代の洞窟壁画との間を繋ぐ存在で、歴史上きわめて重要な意義を持つ。しかし、大半が荒れ放題で放置され実態がよく分かっていない。そこで、本研究はスペインのアルカラ大学、ヴィーゴ大学の研究者と連携して、スペイン・ガリシア地方、ポルトガル・ヴィゼウ地方を核として分布する人類が埋葬に初めて彩色壁画を採用した装飾古墳の実態を解明し、危機に瀕した先史壁画遺産の活用を推進する取組である。 先史ヨーロッパで紀元前5千年紀末に登場する装飾古墳はイベリア半島北西部に分布が限定され、旧石器時代の洞窟壁画と新石器時代の装飾墓の間に位置づけられている。埋葬空間に彩色壁画を採用した点で、芸術史上きわめて重要な意義を持つ。本研究は高精度・高精細なデジタルの双子(ツイン)を構築し装飾古墳のデジタルツイン・プラットフォームを国際連携して共創する。これを基盤としてGNSS測位によるネットワーク化、画像解析による壁画復元、物理解析による崩壊危険度分析、デジタルツインによる巨石ずれの定点観測、教育普及による壁画遺産の啓発を展開する。本課題は研究代表者らが日本やインドネシアでの先行研究で培ってきた方法論をさらに高め、人類史的な視野に立ち先史壁画遺産の保存と公開活用を通じて国際貢献に寄与する。 本研究は今まで実態が不明な人類最古の装飾古墳の考古学的・美術史的位置づけを解明し、次世代へ継承するための研究基盤(デジタルツイン・プラットフォーム)を構築し、国際連携して推進する今までに例のないものである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、ドンバテ古墳を対象に3D計測(レーザー、ハンドスキャニング)、GNSS計測を実施した。ドンバテ古墳はスペイン王国北東部のガリシア地方北岸近くに位置する新石器時代に築造されたドルメン墓である。その利用には次の3時期あったと考えられている。小さな石室を内包する径10.5mのマウンドが築造されたのち、それを取り込むように大きな石室(ドルメン)をもつマウンドが築造される。当初のマウンドから出土した土器片に付着する炭化物から3770~3630 B.C.の年代が得られており、大きなドルメンの羨道床面直上から得られた値などもおおよそ齟齬がないため、近接する時期のうちに築造の開始からドルメンと大きなマウンドの築造までが含まれる(第1期)。ドルメンはその後3100~2900B.C.に羨道部に偶像が立て並べられるなど改変を受け(第2期)、2880~2665B.C.にはいわゆるビーカー民により再利用されたものと考えられている(第3期)。 ドルメンの内壁面には2種類の壁画があり、ドルメン築造以前に遡る線刻壁画と、ドルメン構築後に描かれたと考えられる彩色壁画がある。これは線刻壁画が玄室の立石が重なり後から描画できない箇所に渡って描かれているのに対し、彩色壁画はおおよその高さを揃えて描画されているためである。特に線刻壁画がドルメン構築以前のものであるという点では、当研究グループでも令和4年に訪問したフランス・ロクマリアケルの状況とよく似ている。 令和7年1月27日(月)と28日(火)の2日間にわたってドンバテのドルメンの三次元計測調査を行った。主に第1日と第2日にわたってレーザースキャナによるマウンド・ドルメン外表の計測を、壁画を含むドルメン内部については山本がハンドスキャナによる計測を行った。現在、データについては編集が進行中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、まず、2024年度に計測を完了したドンバテ古墳のレーザーおよびハンドスキャナーの計測データを統合し、3Dモデリングデータを完成させる。現在、編集が進行中であるが、順調にデータ結合が進んでおり、大きな問題が無ければ2025年中にはGNSS座標データを基準点に付与したデジタルツインを完成することができる。一方、イベリア半島北西部の装飾古墳の調査では、ポルトガルのアンテラス古墳、アルキーニャ・ダ・モウラ古墳を調査するべく、カウンターパートのスペイン・ヴィーゴ大学のフェルナンド氏を中心に働きかけを進めている。アンテラス古墳は1956年にルイス・アルブケルケ=カストロらの調査で極彩色の壁画が発見され、約40年後にオリベイラ・フラデス市が修理した古墳である。発見されてあまり日が経っていないため、ドンバテ古墳と比較するとはるかに顔料の遺存状態が良好である。とくに、この古墳の彩色壁画では、縦方向のジグザグ文や方形区画など、洞窟壁画に登場する幾何学図文が確認できる点が注目される。風化のためドンバテ古墳では不明だった、石室と彩色文様との関連性を解明し、人類が埋葬空間になぜ彩色壁画を採用したのかという点に迫るためにはぜひ、デジタルツイン化が必要な装飾古墳である。一方、アルキーニャ・ダ・モウラ古墳は人物文と思われる図文が登場しており、幾何学文から具象文への移り変わりを考究する上で、興味深い位置を占めている。 ドンバテ古墳、アンテラス古墳、アルキーニャ・ダ・モウラ古墳の3古墳は、人類でいち早く他界のイメージを埋葬空間に可視化した点で、たいへん貴重な遺跡である。この3基のデジタルツインデータを構築することで、考古学的考察だけでなく文化財科学、心理学など学際的な共同研究が推進できるポテンシャルを開発することができる。
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