Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
『ゆらぎ』は平均からのズレを表す概念である。空間的な分子分布のズレ(静的ゆらぎ)や時間的変動(動的ゆらぎ)は対象とする系の構造・物性を決め,その後の時間発展の駆動力となる。本研究では,ゆらぎが顕在化する物質系を取り上げ,以下のテーマ((1)~(3))について,様々な実験手法で広範囲に亘る時間・空間スケールの情報を得て,多角的・階層的・系統的に「ゆらぎの物質科学」を展開することが目的である。(1) 静的・動的ゆらぎの定量化,(2) ゆらぎ場で発現するユニークな現象・物性・機能の発見と何故起こるかの解明,(3) ゆらぎ場の利用を目指した応用展開。科研費配分機関である学振の役員に就任したので半年で研究を完了することになった。この間,特に(1)の項目で研究が進んだ。「静的なゆらぎ」を研究するために,いくつかの興味深い系を取り上げた。①超臨界水と有機物,②二酸化炭素を特異的に吸蔵したイオン液体,③イオン液体と水の混合系である。これらについて,混合状態を濃度ゆらぎで定量化した。①については(水+n-ペンタン)を取り上げた。水の臨界温度で,様々な圧力での濃度ゆらぎを求めた。マクロにはn-ペンタンは水に完全に溶けているが,ミクロな濃度ゆらぎは純水の相変化挙動に大きな影響を受ける形で,混合していることを明らかにした。「動的ゆらぎ」は,イオン液体の相変化時のダイナミクスについて,NMRの縦緩和時間と横緩和時間の測定を行い,議論した。イオン液体の場合,相変化と構成イオンの立体配座の変化がリンクして起こることを我々のグループが明らかにしてきている。ある立体配座を採った領域(静的ゆらぎ構造)が,動的な変化と密接に関係していることが明らかになった。また,媒体として用いる高分子水溶液の相変化を利用した金クラスターからナノ粒子への成長過程を追跡することに成功し,成長過程の機構を明らかにした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Solid State Ionics
Volume: 259 Pages: 41-45
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10.1021/jp310947c
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http://stchem.phys.s.chiba-u.ac.jp/index.html