ブドウ球菌の粘液層(ムチン画分)結合性に関する研究
Project/Area Number |
25460548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Bacteriology (including mycology)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 輝代 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10095763)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2014: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 薬剤耐性 / 感染制御 / メチシリン耐性 / ブドウ球菌 |
Research Abstract |
動物及びヒト消化管に生息し、体外に排泄されるブドウ球菌の実態を解明するために各種検討を行い、以下の結果を得た。 [1]ウシ(18検体)、豚(11検体)及びニワトリ(5検体)の内蔵肉より、オキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。 ウシ10検体、豚7検体、ニワトリ1検体よりmecA遺伝子を保有するブドウ球菌属菌が多数検出された。検出された主な菌種はS. fleurettii, S. sciuri, S.lentis, S.warneri, S. epidermidis, S. hominis, S. saprophyticusであり、S. aureusは見出されなかった。 [2] 某畜産研究施設(匿名希望)の24頭のウシ糞便より内蔵肉の場合と同様にオキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。17頭の糞便よりmecA遺伝子を保有するブドウ球菌属が多数検出された。主な菌種はS. cohnii, S. sciuri, S. fleurettiiであり、S. aureusは見出されなかった。 [3] 小児科医師との共同プロジェクトとして小児糞便に含まれるMRSAを検討した。倫理委員会許諾後、鼻腔スクリーニングによりMRSA陽性と判定されたNICU入院患児の21名の糞便及び鼻腔より、オキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。MRSA保菌小児糞便中は103-108 CFU/gと多量のMRSAが含まれていた。SCCmecタイプ及びMLSTの決定、POT法により検討した結果から 鼻腔に保菌される菌と、糞便中に排出される菌は同一のクローンに属すると推定された(Nakao et al. ARIC in press.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画[1]、[2]に関しては、計画通りに達成された. 実施計画[1]ウシ(第1胃、第2胃、第3胃、第4胃)、豚(胃)、ウシ、豚 小腸、大腸を購入し、生理食塩水で30分震盪洗浄した菌液をマンニット食塩寒天平板、オキサシリン、セフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に塗布し、生育するグラム陽性球菌を分離する。簡便法によりDNAを抽出しPCRにてmecA及びmecAホモログを保有する菌を同定する。更にrDNAの塩基配列を決定し、菌種を同定する。 実施計画[2] 糞便及び鼻腔由来入院乳幼児由来MRSA株より簡便法によりDNAを抽出し、PCRにてSCCmecタイプを決定し、PVL及び毒素性ショック症候群毒素などの毒素遺伝子の保有を検討する。POT法を実施し鼻腔に保菌される菌と、糞便中に排出される菌が同一のクローンに属するか検討する。代表株を選定して MLSTを決定する(順天堂医院小児科医師との共同研究)。 以下の実施計画[3]は、対象とする畜産研究施設を別の県に変更して実施した。 [3]動物糞便はこれまで、群馬県、埼玉県の畜産研究施設(ともに匿名希望)の協力のもとに収集した。再度 協力を依頼し、協力が得られれば、保菌の消長の検討も兼ねて追実験を企画する。 実施計画[4]の入院患者を対象としたMRSA保菌者の糞便の調査に関しても順天堂病院医師、大学院生との共同研究としてすでに病院倫理委員会に申請し、承認を戴いている。順調に進展した理由としては無理のない実施できる計画とたてたことと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はムチン画分と結合するブドウ球菌側の因子を生化学的、遺伝学的手法で解明するための検討を中心に行う。 [1] 豚胃由来ムチン画分を使用して、ムチン画分とブドウ球菌との結合を検出する最適のシステムを構築する。これまでの予備的な検討の結果では一夜培養菌体をELISAプレートに吸着させ、ビオチン標識ムチンとの結合を 酵素標識アビジンにて検出する系が有望であると考えている。選定した反応系で、バラエティミート及び糞便から分離されたすべての菌のムチン画分結合性を調べる。最も結合活性の高い菌株を使用し、ムチン画分と結合する菌体成分を同定する。方法としては培養した菌を超音波などで破砕し、成分を可溶化した後①先に開発したELISAにて菌とビオチン標識ムチンとの結合を阻害する物質を探索し、順次精製する方法 ② 固層化したムチンと反応させたのち、結合物質を分離し、アミノ酸解析、質量分析などを行って構造決定を行う方法 ③ビオチン標識ムチンと結合させたのち、ストレプトアビジン固定ビーズにて結合物を分離し、解析する方法を考えている。タンパクであることが判明した場合は、目的とするタンパクを生化学的に精製するよりも、発現ベクターにクローニングして精製標品を得る方向性を志向する。 [2]S. fleurettii 及びS. sciuri のムチン画分と結合性の高い株及び低い株を選択し、DNA抽出後、全ゲノム配列を決定する。当初はIllumina MySeqのみ使用する予定であったが、計画を若干変更しロシュ454も使用する。決定された塩基配列の相互比較、及び先のアミノ酸解析の結果を参照してムチン画分と結合する物質を同定する。 [3]ブドウ球菌に結合性を示すムチン画分の分子実体を明らかにする。具体的には、菌から得られたムチン画分結合物質(恐らくタンパク)と結合する物質を市販ムチン画分あるいは豚の胃や腸管から分離精製してその実体を明らかにする方向への検討に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究に使う費用として見積もった、器具(シャーレ、ピペット、遠心管など)及び試薬(培地、DNA抽出試薬)の大半は順天堂大学細菌学教室に一括して購入してあるものでまかなうことができた。年度末に予定したコンピューターの購入が4月1日と遅れたため、更に多くの額が未使用となった。一方全ゲノムの配列にはやはりロシュ454による解析が必要とされ、こちらは一件あたり80万と多額の費用が必要であることが判明した。またそれに使用する菌株は次年度の実験を待って決定したほうが良いと判断された。そのため、あえて年度内で予算を使用せず、次年度に先送りした。 1316964円の未使用額のうち 約20万はすでにコンピューターを購入して使用した。残りの額はロシュ454を使用した全ゲノム配列の決定に主に使用する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)