Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
平成25年度の達成目標は、細胞の多能性に寄与するヒストンバリアントを同定することである。本年度は、iPS細胞と比較して繊維芽細胞において高く発現しているヒストンバリアントを網羅的に探索した。加えて、既存のデーターベース(Gene Expression Omnibus)を用い、多能性幹細胞(ES/iPS細胞)において、他の分化組織と比較して高く発現するヒストンバリアントについても探索を行った。この結果いくつかのヒストンバリアントを多能性幹細胞特異的ヒストンバリアントの候補遺伝子として同定した。さらに、次年度に行う、多能性幹細胞特異的ヒストンバリアントの作用機序の解明のための実験系の確立を目指した。具体的には、①ヒストンバリアントの体細胞リプログラミングにおける機能解析(iPS細胞樹立条件の検討)②ヒストンバリアントの制御領域の解明 (ChIP解析)、③各ヒストンバリアントとエピゲノム制御の関係性の解明(ChIP、バイサルファイトシーケンス、MeDIP、hMeDIP、および次世代シーケンス)。また、申請者が移籍した研究室では、網膜発生を主として研究しており、iPS細胞から分化させた網膜を解析するためツールが整っている。とりわけ、in vitroの系でES細胞から網膜を分化させる網膜3次元培養は、樹立したiPS細胞の性質を調べるよい研究技術であると考え、本年度はその立ち上げにも取り組んだ。しかし、年度途中で、申請者の留学が決まったため、実験系の立ち上げ段階で本研究課題を廃止することとなった。