Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
近年、microRNAと疾病について数多くの研究が爆発的に進められている。特に癌分野において癌細胞増殖促進的、或いは抑制的に働くmicroRNAが明らかになってきている。このように種々のmicroRNAの機能が明らかになってきていながら、これらの情報を用いた癌に対する予防への応用がほとんどなされていない。そこで、申請者が所属する研究室において提唱された「分子標的予防」の戦略において、日常における食生活のコントロールによるmicroRNA標的予防を目指した基礎的研究を行った。現在、種々のmicroRNAがプロモーターレベルで発現調節を受けていることが知られている。そこで、miR-34a発現上昇を促す食品成分のスクリーニング法として、miR-34aのプロモーター活性上昇を指標とする系の確立を試みた。まずは、実験に最適なヒト癌細胞について文献調査を行った結果、ヒト大腸癌細胞株HCT116を第一に選択した。データベース登録配列情報を基に、miR-34aのプロモーター予測配列を増幅するプライマーを設計した。その配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、miR-34aのプロモーター活性化レベルを評価するためのプラスミドを構築した。作成したプラスミドをHCT116細胞にトラスフェクションし、miR-34aプロモーター活性の確認実験を行った結果、十分な活性値は認められなかった。トラスフェクション条件をいくつか検討したが、同様の結果であった。miR-34aの発現誘導作用が既報により確認されているアドリアマイシン、および研究代表者が見出したmiR-34aを誘導する食品成分であるフラボンを用い、検証したが、プロモーター活性の上昇は認められなかった。今回、プラスミドに組み込んだmiR-34aプロモーター予測配列に関しては、プロモーター活性を有していないという結論に至った。