Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
レトロトランスポゾンは多くの生物種のゲノムに散在する転移因子であり、ホストの遺伝情報に重大な損傷をもたらすことが知られている。従って、レトロトランスポゾンの発現抑制機構の解明は重要な課題であり、これまでに多くの研究グループがその解明に挑み、多種の因子の関与が報告されている。これらの因子の多くは、生殖巣特異的な25塩基程度の小分子RNAである、piRNA(Piwi-interacting RNA) の生合成に関与する細胞質局在因子である。細胞質内におけるpiRNA生合成機構の解明が進む一方で、核内におけるレトロトランスポゾン発現抑制の解明は、ほとんど手つかずと言って良い状況にある。その要因の一つとして、Piwiと供に、核内でレトロトランスポゾン発現抑制を担っていると推察される、パートナー蛋白質の同定が未だなされていないことがあげられる。そこで、新たな核内レトロトランスポゾン抑制因子の同定を目的とし、RNAi をベースとした遺伝子スクリーニングを行った。約100遺伝子を対象に試みた結果、既知の因子を含む11種の因子がレトロトランスポゾンの発現抑制因子として検出された。これら11種の因子の細胞内局在を検討したところ、CG3893(DmGTSF1) が核特異的に局在する蛋白質であることが判明した。ショウジョウバエDmGTSF1欠失個体を用いた解析より、DmGTSF1は卵巣特異的なレトロトランスポゾン発現抑制因子でPiwiと直接的に相互作用することが示された。またDmGTSF1によるレトロトランスポゾンの発現抑制は、Piwiと同様に、ヘテロクロマチン形成を介した転写制御であることが判明した。以上の解析結果を論文にまとめ報告した。DmGTSF1の機能解析は、不妊の病態形成機構の解明、ひいては新たな治療法の開発へと繋がる可能性を持っている。
All 2013
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)
Genes Dev.
Volume: 27 Issue: 15 Pages: 1656-61
10.1101/gad.221515.113