Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
臨床試験で用いられた2.5 mg/kgシクロスポリンを封入したナノ粒子のマウス心筋虚血-再灌流モデルへの投与で梗塞サイズの縮小効果を認めた。シクロスポリン単独を2.5 mg/kg投与した場合は梗塞サイズの縮小は確認されなかった。シクロスポリン封入ナノ粒子の梗塞縮小効果がミトコンドリア選択的DDSに起因するかどうかを明らかにした。さらにナノ粒子の組織分布を明らかにするために、心筋虚血-再灌流後にFITCナノ粒子を投与し、心筋組織を単離してミトコンドリア画分を回収すると、FITCシグナルが細胞質分画と比較してより強く検出されたことから、ミトコンドリア選択的DDSが示唆された。また、シクロスポリン封入ナノ粒子投与実験において、シクロスポリン濃度がミトコンドリアにおいて高いことが明らかになった。さらに、ラット胎児心筋細胞において、膜電位、mPTP開口の分子イメージング(共焦点レーザー顕微鏡)や電子顕微鏡解析を行ったところ、膜電位の変動に依存してナノ粒子がミトコンドリアに集積、拡散するという現象が認められた。このことから、再灌流時にナノ粒子がミトコンドリアに集積しシクロスポリンが放出され、薬効を発揮する事が明らかになった。さらに、シクロスポリン封入ナノ粒子がミトコンドリア経路を介して効果を発揮することを分子レベルで明らかにするために、シクロフィリンD欠損マウスを用いた治療実験を行ったところ、シクロフィリンD欠損マウスは野生型マウスと比べ、治療効果が高いことが明らかになった。このことからシクロスポリン封入ナノ粒子はミトコンドリアに局在するシクロフィリンDに直接作用して、虚血再灌流傷害を抑制することが示された。
All 2014
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Circulation.
Volume: 129 Issue: 8 Pages: 896-906
10.1161/circulationaha.113.002870