Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
先天性腎尿路奇形(Congenital anomalies of kidney and urinary tract:CAKUT)疾患として孤発性の腎無形成・単腎、腎低形成・異形成、嚢胞腎を持つ症例の収集を行った。東北大学病院、および関連病院よりこれまでに5名の患者とそのご家族より同意を得て、患者とその両親より採血を行い、DNAを抽出した。CAKUTの原因となるHNF1BやEYA1などの既知の遺伝子異常については、全欠失を含む遺伝子欠失が比較的高頻度で認められることから、収集された患者サンプルに対して、アレイCGH法による微小欠失・重複変異検索のスクリーニング検査を施行した。アレイCGHはAgilent社ヒトゲノムCGHマイクロアレイ244Kキットを用い、標準的な方法で行った。これまでアレイCGH解析が終了した3名については病的と考えられる欠失・重複は認められなかった。スクリーニング検査陰性の孤発性CAKUT症例に対し、半導体型次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を施行した。各症例より得られたそれぞれ約3万変異の中から、アミノ酸変化のある一塩基置換、フレームシフト変異または挿入・欠失変異であり、かつSNPデータベース(snp137NonFlagged)に登録がないものを対象とし、3万→約700変異に絞りこむことができた。この変異の中には、CAKUTの原因遺伝子とされているSall1のヘテロフレームシフト変異も含まれていた。今後は患者サンプルに加えて両親の検体に対しても同様にエクソーム解析を行い、de novo変異の同定を行う予定である。発端者とその両親のトリオDNAサンプルを同時に解析し、de novo解析アルゴリズムから疾患候補遺伝子を絞り込むことを計画している。