Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1.現在までに、軟骨損傷治療に対して骨穿孔術が行われ、骨髄細胞が直接、損傷部もしくは損傷部周囲に誘導され、軟骨再生に関与していると考えられている。しかし、自己の骨髄細胞が軟骨再生に関与していること、またどの程度関与しているのかを示す報告はなく、今回骨髄抑制ラットにGFPラットの骨髄細胞を移植したGFP陽性キメララットモデルに軟骨損傷を作成後に骨穿孔術を用い、軟骨損傷部位に誘導されるGFP陽性細胞について組織学的検索を行い、骨髄細胞の軟骨再生機構への関与を検討した。12週齢のSDラットの大腿骨滑車部に直径2mmの骨軟骨損傷を作製し、2週、4週で評価を行ったが、再生組織の評価ではGFP陽性細胞が大部分を占める例、GFP陽性細胞がほとんど存在しない例が混在し一定の見解を得られなかった。2.また同時に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、 granulocyte-colony stimulating factor)を使用し骨髄前駆細胞の活性を高めた状態で骨穿孔術を行った場合に、通常の骨穿孔術と比較し骨髄細胞がより多く軟骨欠損部に誘導され、より良好な軟骨再生を得ることが期待されると考え、再生軟骨組織をG-CSF投与無しの群と比較し、G-CSFの軟骨再生への有用性を検討した。骨軟骨損傷作製後2週、4週で評価を行ったが、組織学的スコアでは2群間で有意差はなく、現時点では軟骨再生に対するG-CSFの有用性を証明することはできなかった。