Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
子宮内膜癌は婦人科領域では最も頻度の高い悪性腫瘍である。特に進行期あるいは再発性の子宮内膜癌は有効な治療法が無いため予後不良であり、その平均生存期間は1年に満たない。そのため、子宮内膜癌の病因の解明が必要である。研究代表者は、定量的プロテオミクス手法を用いて、正常子宮内膜細胞と比較して、子宮内膜癌細胞株で有意に高発現する蛋白質の1つとしてJunctional adhesion molecule 1 (JAM1)を同定した。JAM1はTight-junctionを構成するタンパク質の1つであるが、癌におけるJAM1の機能は不明な点が多い。本研究において研究代表者はJAM1が子宮内膜癌に対する新規治療標的なるかどうかを検討するため、子宮内膜癌におけるJAM1の機能解析を行った。JAM1陽性子宮内膜癌由来の細胞株であるHEC1およびSNG-IIに対してJAM1の発現をsiRNAで抑制した結果、細胞増殖の有意な抑制が認められたため、JAM1が子宮内膜癌細胞の増殖に関与していることを明らかにした。JAM1の発現抑制による細胞増殖抑制の分子機序を解明するためにフローサイトメトリーを用いて細胞周期解析を行った結果、G0/G1期での細胞周期停止が誘導される事を発見した。SNG-II細胞においてJAM1の発現抑制によりp21の発現上昇がウェスタンブロット法により認められた。これらのことから、JAM1を介した細胞増殖制御にはp21の関与が示唆された。さらに、子宮内膜癌手術組織を用いてJAM1の免疫組織化学染色を行った。免疫組織化学染色によるJAM1の発現をスコア化し、臨床情報との関係を解析した。JAM1の発現は正常子宮内膜と比較し子宮内膜癌組織にて有意に高発現を示し、JAM1の発現は筋層浸潤と相関することを明らかにした。一方、JAM1の発現と癌のステージ、再発との間に有意差は認められなかった。これらの結果、JAM1を標的とした治療は子宮内膜癌の増殖抑制が期待されるのみならず、筋層浸潤の阻害にも有効である可能性が示唆された。
All 2014
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results)
Int J Cancer
Volume: 134 Issue: 8 Pages: 1796-1809
10.1002/ijc.28526