Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
我々はTRPV1受容体が前庭神経節に発現していることを組織学的手法により確認し、さらにカルシウムイメージング法により陽イオンチャネルとしての機能的発現があることを確認した。一方、TRPV1はマウス前庭神経系において、アミノ配糖体によりupregulateされ、神経保護作用を示す可能性を指摘する報告が存在することから、①TRPV1は内耳に対する侵害刺激によりupregulateすること、②TRPV1のupregulationには脳由来神経栄養因子BDNFの関与の可能性が考えられること、が想定された。①についてはラットに対し、カナマイシンの全身投与と内耳破壊を行い、定量PCRを用いて実験し、②についてはカルシウムイメージングを用い、前庭神経節細胞を培養時にBDNFを投与して実験した。まず①について、カナマイシンの全身投与では500mg/kg/dayを3日間、7日間、14日間投与の3群に分けて定量PCRを行った。すると、投与期間が短いほどTRPV1mRNAは大きくupregulateすることが判明した。また内耳破壊についてはTRPV1mRNAは著しくdownregulateすることが判明した。また②についてはBDNFを投与して培養した群はBDNFを投与しなかった群に対し、TRPV1選択的アゴニストのカプサイシンに対して応答する神経細胞の割合が有意に増加した。以上より、前庭神経節のTRPV1は内耳へのダメージが比較的小さい時にupregulateしていること、またBDNFがそのTRPV1のupregulateを調節している可能性が示唆された。さらにTRPV1はSubstance Pの分泌を促し、そのSubstance Pは薬剤で誘発された眼振を軽減することが報告されていることから、TRPV1を介した経路が前庭機能の回復、保護に寄与している可能性がある。
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Neuroscience Letters
Volume: 552 Pages: 92-97