Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
現在,口腔顔面領域での外科的矯正手術や口腔癌の手術などでの術中疼痛管理にオピオイド系鎮痛薬が頻繁に使用されている。しばしば高用量のオピオイド術中使用により、術後痛が増強することが報告されている。過去の研究から、NMDA受容体拮抗薬の術中同時投与によって高用量のオピオイド術中使用による術後痛の増強が抑制されたとの報告があり、オピオイド術中使用による術後痛増強の発症には脊髄後角におけるPKC 活性化を介したNMDA受容体の可塑的変化が関与していることが示唆されるが、その詳しいメカニズムは分かっていない。本研究の目的は、術中オピオイド系鎮痛薬使用後に発症する術後痛増強に対する延髄NMDA受容体の役割を解明をすることである。イソフルラン麻酔下にて、脊髄へレミフェンタニルを髄腔内投与中にラットの口髭部へ切開を加え、顎顔面皮膚切開モデルラットを作成する。術後1週間、口髭部への機械刺激および熱刺激に対する逃避閾値と逃避潜時が有意に低下した。あらかじめNMDAアンタゴニスト、PKCインヒビターまたはオピオイド受容体アンタゴニスト髄腔内投与したラットに、レミフェンタニル髄腔内投与中に顎顔面皮膚切開を行った。口髭部への機械刺激および熱刺激に対する逃避閾値と逃避潜時の低下が抑制された。