Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、マウス末梢血免疫能を指標とした免疫能選抜マウス(末梢血貪食能高、抗体産生能高、両形質高、対照の4系統)の免疫機構と、疾病抵抗性を検討することを目的としている。昨年度までに明らかにした末梢血貪食能選抜における血中好中球数増加のメカニズム追求し、また、感染実験から疾病抵抗性に関する検討を行った。血清成分の系統間の違いが示唆されていたことから、血清成分の違いが遊走能に与える影響について詳細を詰めた。トランスウェルの下層に個体ごとの血清、もしくは全系統の血清をプールしたものを添加し好中球遊走能試験を行った。結果、どちらの血清を用いた場合においても骨髄好中球の遊走数に変化は認められなかったものの、系統ごとの遊走好中球数は血中好中球数と同様であったため、血中成分の違いによる影響は小さく、むしろ受容体の発現量が遊走数に強く関与すると考えられた。そこで、好中球遊走に関与する受容体であるCXCR2やCXCR4の発現量を骨髄と末梢血において検討した。結果として、末梢血貪食能高マウスでは骨髄好中球CXCR2高発現による遊走能増加が血中好中球数を増加させ、血中好中球数が最も少ない対照系統では末梢血好中球のCXCR4の高発現が血中好中球を組織にホーミングさせることで減少している可能性が考えられた。一方、免疫能選抜マウスの抗病性の検討のため、肺炎レンサ球菌を用いた感染実験を行った。その結果、系統間の体重減少率に差の傾向が認められ、感染5日目において末梢血貪食能高、抗体産生能高選抜マウスの体重減少率が対照系統に比べ低いことが明らかとなった。本研究結果は、指標とする免疫能により抗病性が高まる可能性を示しているが、好中球数の増加やCXCR2発現量の増加と、感染時における体重減少抑制との関連性や、昨年度明らかにした抗体産生能高選抜マウスの脾臓細胞増殖活性との関連を明らかにする必要がある。
All 2014 2013
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)
Nihon Chikusan Gakkaiho
Volume: 84 Issue: 2 Pages: 141-147
10.2508/chikusan.84.141
10031177465