Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成25年度は本研究の目的である粒子線治療用レンジ補償フィルタの高速計算アルゴリズムの開発に必要なCTデータ(DICOMフォーマット)の取得プログラムおよび、患者体内の任意の点の水等価深さを計算するアルゴリズムの検討および作成を行った。これらの処理は市販のソフトウェアを用いると大量データの一括処理ができない、処理速度が遅い、拡張性がない等の問題が起こるため、C++をベースとしたプログラムにより高速かつ拡張性をもつ処理環境を構築した。水等価深さの計算はレンジ補償フィルタ補正計算の基本となる部分であるため、ここでの不要な近似計算による誤差は補正計算の精度および速度に影響を与えてしまう。ここでは計算voxelを任意の3次元的角度で入射粒子が通過する場合に対して、近似を用いず計算速度を高速に保つ方法で計算アルゴリズムを作成した。また、入射粒子の患者体内における散乱を考慮に入れた"実効"水等価深さの導入について検討・作成を行った。計画段階で検討したアルゴリズムは、入射粒子が患者体内で直進することを仮定した水等価深さに基いたレンジ補償フィルタで計算された線量分布に補正を加える方法である。これに対して、予め散乱効果を考慮して患者体内の線量計算点に寄与する患者体内のCT値を重み付きで3次元的に積算する"実効"水等価深さを導入することにより、最適化イタレーションを伴わない高速な計算アルゴリズムが実現できると考えられる。レンジ補償フィルタの高速計算を実現するために最適な方法を開発するために、上記の2種類の深さ計算を検討・作成を行った。平成26年度は、前年度に作成した水等価深さおよび実効水等価深さを用いたレンジ補償フィルタの作成アルゴリズムの作成を開始した。