Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
渡り鳥の渡りの方角を決定している高感度磁気レセプターを模倣し、微弱磁場センシング・システムの構築を目指した。その高感度磁気レセプターとして有力視されている青色光受容体タンパク質クリプトクロムにおいては、光励起後電子アクセプターとして働くフラビン、ドナーのトリプトファン(Trp)の位置関係が重要である。本研究課題で、脂質ラフトのモデル膜を利用し、マイクロドメイン場におけるドナーーアクセプター間の①特異的、または②選択的な位置関係を誘導することを試みた。本課題で着目しているマイクロドメインを可視的に評価する方法の確立、適切な化合物系の設計、探索を行い、下記の結果を得た。Electroformation法で調製した脂質ラフトモデル膜を利用し、マイクロドメイン場における光誘起電子移動(ラジカルペア形成)が観測できるシステムを構築した。巨大一枚膜の秩序液体相(マイクロドメイン)に選択的に集積するTrp(電子ドナー)含有ペプチド核酸(PNA)とアクセプター含有相補DNAを用いて、顕微下での蛍光消光を観測できた(①特異的な系)。電子アクセプターは、フラビンとAlexa Fluor 488を検討した。Alexa系の光誘起電子移動については、蛍光寿命も含め、定量的に評価できた。フラビン系は、相補PNAの水への難溶解性(相補DNAの合成が困難なため)等の問題もあり、定量的な評価には至っていない。今後、フラビン含有DNAの合成の可能性についても検討する予定である。一方、②選択的な系の構築を目指し、アクセプターとして、秩序液体相に分配する直線的で剛直なフラビン類縁体の設計、合成を試みた。通常のフラビン化合物が無秩序液体相選択性であるのに対し、イソアロキサジンの7, 8-位をパルミトイル置換したフラビン類縁体では相選択性が無く、目的に対して改善はされたものの不十分であることを示す観測結果を得た。
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日本磁気学会誌「まぐね」
Volume: 10 Pages: 140-145