Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本邦における胃癌治療は優れた治療成績を誇っているが、転移の進んだ高度進行胃癌に対する治療はいまだ満足のいくものではない。なかでも腹膜播種をきたした胃癌患者の予後は極めて不良で、その治療法の開発は急務である。当該研究は、近年急速に進歩している光技術を応用して胃癌腹膜播種に対する新規治療法の開発を目的とするものである。具体的には、これまで困難であった抗体へのconjugateが可能となった新規光増感剤IR700(Ogawa et al., 2011)を用いて標的細胞特異的なconjugate抗体を作製し、選択的な光増感剤のデリバリーを行う、従来のphotodynamic therapy(PDT)に分子標的治療の特異性を付加した“光免疫治療”の胃癌腹膜播種への応用開発を目的とするものである。まず、胃癌腹膜播種患者の腹水から樹立した胃癌細胞株を用いた実験をもとにCXCR4受容体の発現が腹膜播種形成メカニズムに重要な役割を示しており、腹膜播種関連胃癌幹細胞の有用なマーカーとなることを別紙のとおり学会において発表した。このCXCR4受容体を標的とする抗体に新規光増感剤であるIR700を安定的にconjugateすることに成功し胃癌細胞株に取り込ませることが可能であった。さらに690nmの近赤外光を照射することで、照射範囲内の抗体を取り込んだ細胞だけに超選択的な殺細胞効果をもたらすことができた。この結果から光免疫治療に必要な抗体濃度、近赤外光の出力、必要な顕微鏡検出感度などについての基礎データを収集することができた。
All 2013
All Presentation (3 results)