Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
記憶学習を司る分子メカニズムを理解するためのモデルとして、ショウジョウバエの嗅覚連合学習系はこれまで盛んに研究されてきた。近年の遺伝学的技術の発展に伴い、複数の変異体の組み合わせや複雑な遺伝子型のハエの連合記憶を測定することが必要となるなど、行動実験の大規模化が進んでいる。これらの行動学的解析には一般的に非常に時間がかかることに加え、これまでの研究により多数の記憶変異体が単離されてきたが、これら変異体の記憶読み出しにおける匂いの選択行動の詳細な解析はなされていない。本研究では、新たなシステムを構築し、実験作業・データ解析を自動化することで嗅覚学習実験系の高速化を実現した。また、学習に必要な刺激(匂い刺激、電気ショック刺激)の提示とデータ収集・解析をコンピュータプログラミングにより自動化することで実験を高速化するとともに、匂い選択行動の詳細な画像解析を行う実験装置を構築した。本研究において、四グループのハエに対し同時に自動で嗅覚罰訓練を行う訓練装置、四グループのハエの嗅覚記憶を同時に自動で測定・解析するテスト装置を作製した。訓練装置では、学習に必要な電気ショック刺激、匂い刺激の提示をコンピュータからの指令により自動で制御する。テスト装置では、透明な台形チューブ内で匂いの選択をハエに行わせ、その選択行動を上部に配置したカメラにより撮影する。撮影された画像はコンピュータにおいて自動解析され、学習スコアが算出される。これらの訓練装置とテスト装置を二台ずつ並べて実験することで、8グループのハエの行動実験を自動で行うことができるようになった。また、これまでの研究手法では、記憶学習後の匂い選択行動は、それぞれの匂いを選択したハエの数を手作業でカウントするという方法しかとられていなかったが、本テスト装置では匂いの選択行動をカメラで撮影するため、その詳細な画像解析が可能となった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。