Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
真核生物は減数分裂により配偶子を形成し、次世代に遺伝情報を伝える。配偶子に染色体を正しく分配するためには、シナプトネマ複合体とよばれる構造が相同染色体間に正しく構築される必要がある。本課題は、シナプトネマ複合体を構成する因子の分子特性や複合体中での機能、因子間の相互作用、相互作用が複合体形成に果たす役割、各因子が受ける制御の機序をそれぞれ研究することで、シナプトネマ複合体がどのような機構で構築、制御されて機能を果たすのかについて理解することを目的とする。構成因子のうち10種に関して、マウス精巣由来cDNAからクローニングを行い、大腸菌で発現、精製するためのベクター及び培養細胞の発現ベクターに組み込んだ。in vitro結合解析の結果、シナプトネマ複合体の中央領域に局在する4つの因子(SYCE1、SYCE2、SYCE3、TEX12)のうち、SYCE1の自己結合、SYCE1とSYCE3間及びSYCE2とTEX12間の特異的な相互作用を同定した。次に、培養細胞中にSYCE1を単独で強制発現させるとドット状の凝集構造を形成すること、SYCE3を共発現させるとこの凝集に取り込まれること、SYCE3は凝集の構造を変化させることを明らかにした。さらに、SYCE2とTEX12はそれぞれ単独で培養細胞中に強制発現させると核や細胞質に一様に存在するが、共発現させると両者を含む繊維状及び球状の凝集構造を形成することを見いだした。これらの結果からシナプトネマ複合体の中央領域は2種のタンパク質複合体がそれぞれ形成する構造により構成されていることが示唆された。以上に加えて、シナプトネマ複合体中で染色体軸を形成するコヒーシン複合体のサブユニットであるSTAG3について、コードする遺伝子の変異マウスの解析から、STAG3がシナプトネマ複合体の形成や配偶子の形成に必須の役割を果たすことを明らかにした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。