Project/Area Number |
25902007
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国語・国文学
|
Research Institution | 奈良文化財研究所 |
Principal Investigator |
井上 幸 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部史料研究室, アソシエイトフェロー
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 木簡 / 字形 / 異体字 |
Research Abstract |
藤原京木簡および平城京木簡にみえる字形と、地方の木簡の字形を比較し、相違点を把握することを目的として、字例を収集した。地方の木簡については、『日本古代木簡集成』などを参考に、資料収集を行い、各地の報告書の情報を収集した。特に、静岡県伊場遺跡では、現地見学と資料収集を行った。その他、主に、但馬・国分寺遺跡、福岡・大宰府関係、徳島・観音寺遺跡の報告書の記述の収集を行った。藤原京・平城京の都城出土木簡については、以前の科研成果(その調査範囲は、『藤原宮木簡』1~3、『飛鳥藤原京木簡』1・2、『飛鳥藤原宮発掘調査出土木簡概報』1~22、『平城宮木簡』1~7、『平城京木簡』1~3、『平城宮化掘調査出土木簡概報』1~41を対象としている)を利用しながら、地方から届いた荷札などの資料を整理した。これらの字形収集の基礎作業を進めつつ、都城で作成された木簡の字形と比較した。このうち、「茂」字の「戊」の部分の形と、「智」字の部位の配置について取りあげ、韓国日本文化学会で報告した。都城で書かれた場合と地方で書かれ都城に届いた木簡の場合、使用字形にやや違いがみられた。都城では現在書く字形が主で、賀茂国からの届いた荷札等の字形とは相違する点が見られた。書かれる場所、書き手の問題などの位相差を把握していくための基本的な作業として、重要性がある。今後、さらに送付元あるいは出土地を増やして検討する必要がある。これらの活動の参考となる、中国文字学についての資料収集も行ったが、都城と地方での文字使用の相違点が、中国や朝鮮半島での文字使用とどちらが近いかなど、まだ未検討であるので、今後の課題にしたい。また、やや目的からはずれるが、木簡で使用されるこれらの字形と後世の写本の字形について、『古事記』真福寺本を例に、当時の筆跡から検証すことの重要性について論文発表した。
|