1 目的 本研究は、中学生が遺伝子組換え実験を正しく理解できるため実践的な教授方略を解明し、我が国の中学校理科教育における遺伝子組換え実験の導入の可能性を探ることを目的とする。 2 研究成果 (1)中学校理科に教育用キットの遺伝子組換え実験の導入は、実験補助者を配置すれば十分に可能である。 (2)遺伝子組換え実験は、中学校理科第3学年の単元「生命の連続性」で扱い、遺伝子組換え作物の紹介後に実験を実施する。 (3)遺伝子組換え実験に関係する専門用語は、繰り返し説明し、実験実施前に用語集を配布する。 (4)遺伝子組換え実験に必要な実験器具は、周辺の学校で共同購入することで1校当たりの負担を軽減できる。 3 生徒の理解 教育用キットを用いた遺伝子組換え実験では、大部分の生徒が大腸菌の遺伝子組換えを行うことができた。しかし、各実験操作の意味を理解せずに実験を行っているケースが多く、特に次の実験操作の意味を理解していなかった。 (1)プレートにアラビーノースを加える操作 (2)大腸菌にプラスミドを加える操作 (3)プレートにアンピシリンを加える操作 4 指導者の留意点 (1)基本的な知識として、本実験に関する専門用語の理解を徹底させる。 (2)実験に利用できる時間が限られているため、制約された時間を補う工夫をする。 (3)実験を実施する前に、基本的事項に関して生徒の理解を確認し、指導をすすめる。
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