Research Abstract |
1. 目的 材料のマクロな機械的性質は, 結晶粒径や析出物など微視組織の機械的性質に依存しており, 組織制御によって材料特性を向上させている, したがって, このような微小レベルで機械的性質を調査することが, 新たな材料開発へとつながる. そこで本研究では, 材料のミクロ組織や薄膜等から作製したミクロン~サブミクロンサイズの部材に対する破壊試験機の開発を行った, またCCDカメラを用いて"その場"観察を行うことで, 材料の変形や破壊のメカニズム解明への寄与を検討した. 2. 試験機概要 作製した試験機は大まかに①Y-Zステージ, ピエゾアクチュエータ, ロードセル, ダイヤモンド圧子からなる試験荷重部, ②Xステージ, α-βステージ, θステージからなる試料ホルダ部, ③白色干渉計と通常の光源からなる観察部の3つからなる. 今回開発した試験機では, 荷重方向真横から観察することで, 白色干渉計測定および動画撮影を可能とした仕様になっている. また試験片にごく微小な変位を与えるために, アクチュエータとしてチタン酸ジルコン酸鉛の圧電素子を用いた. このアクチュエータは最大で38㎛の変位を与えることが可能であり, その変位はアクチュエータ中に組み込まれた容量型変位計によって計測され, フィードバック制御をこの信号により行っている. また, 変位を与える際にはコントローラから変位または電圧をアナログ制御することが可能であるため, 本試験機は一台で, 曲げ試験, 引張試験, 破壊試験のみならず, 疲労試験へも対応している. 3. 結果 作製した試験機を用いて10x10x50㎛の片持ち梁に対し破壊試験を実施したところ, 動画観察においては亀裂導入とその荷重変化の対応が明確に観察された. また白色干渉計においては, 変形に伴う表面起伏の変化が観察され, 今後の研究で, 材料の変形や破壊のメカニズム解明への寄与を十分に果たすと思われる結果を得た.
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