Project/Area Number |
25929003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石原 正志 岐阜大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 口腔粘膜炎 / ポラプレジンク |
Research Abstract |
造血幹細胞移植前に実施される大量化学療法では、口腔粘膜炎が高頻度に発現し、その症状の程度によっては患者のQOLが著しく低下する。さらに、大量化学療法により骨髄機能が破壊されるため、著しい免疫能の低下が起こり、口腔内感染や出血のリスクが高まる。以前の研究において、我々は胃潰瘍治療薬のポラプレジンクが、頭頸部癌患者において放射線治療による口内炎に対して顕著な予防効果を示すことを報告した。 本研究では、造血幹細胞移植前の大量化学療法による口腔内粘膜障害に対して、ポラプレジンクの予防的投与が有効であるかどうかを検討した。 2007年11月~2013年3月に血液感染症内科および小児科にて造血幹細胞移植が行われた患者を対象として、薬剤師、医師および看護師の電子カルテの記録より後方視的に調査した。口腔粘膜炎の症状はCTCAEv3.0により重症度分類し、症状観察期間は移植前大量化学療法開始時から移植後1ヶ月間における症状を調査した。ポラプレジンク/アルロイドG群(N=25)はポラプレジンク25gを5%アルギン酸Na 100 mLに混合し、1回5 mLを1日4回、化学療法施行時から35日間投与した。対照群(N=11)はアズレンスルホン酸Na含嗽液を1日4~6回含嗽した。症状観察期間において、両群間の口腔粘膜炎の症状および口腔内疼痛の発現状況と重症度、さらに鎮痛剤の使用状況について、両群間で比較した。 その結果、Grade2以上の口腔粘膜炎および口腔内疼痛の発現率は、対照群ではそれぞれ82%および73%と高頻度であったのに対して、ポラプレジンク/アルロイドG群ではそれぞれ16%および20%であり、ポラプレジンク/アルロイドG群は、造血幹細胞移植前の大量化学療法による口控粘膜炎に対して顕著な予防効果を示すとともに、口腔粘膜炎に伴う疼痛の発現を有意に低下させた(P<0.01)。また、ポラプレジンク/アルロイドG群は口腔粘膜炎による疼痛に対して用いる鎮痛薬、特に局所麻酔薬に使用量を有意に減少させた(P<0.01)。 今回の研究結果より、ポラプレジンク/アルロイドGは放射線照射による口腔粘膜炎に対してのみならず、造血幹細胞移植前の大量化学療法による口腔粘膜炎に対しても明確に予防効果を発揮することが明らかとなり、がん治療においては欠くことができない重要な支持薬の1つになると考えられた。 現在、口内炎予防・治療薬としてのポラプレジンクの適応拡大に向けて取り組んでいる。
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