Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
含窒素ヘテロ芳香族化合物の有機合成への利用は、その潜在的な構造多様性とは対照的に極めて限定的な状況である。本研究ではアゾリウムイリドの付加環化反応による脱芳香族化と、生成する不安定なエナミン中間体の安定化合物への変換について検討する。アルケンとの付加環化反応後に還元処理を行う場合、立体中心が高度に密集した縮環ピラゾリジン誘導体が得られる。一方、親双極子としてアルキンを用いた後に酸化処理を行った場合、合成例の寡少な10πヘテロ芳香族化合物が得られる。さらに、N-N結合の切断が進行するカスケード反応の検討や、ベンザインを親双極子に用いる反応といった、多様な分子変換法の確立についても検討する。