Budget Amount *help |
¥569,270,000 (Direct Cost: ¥437,900,000、Indirect Cost: ¥131,370,000)
Fiscal Year 2018: ¥59,280,000 (Direct Cost: ¥45,600,000、Indirect Cost: ¥13,680,000)
Fiscal Year 2017: ¥59,280,000 (Direct Cost: ¥45,600,000、Indirect Cost: ¥13,680,000)
Fiscal Year 2016: ¥74,100,000 (Direct Cost: ¥57,000,000、Indirect Cost: ¥17,100,000)
Fiscal Year 2015: ¥149,370,000 (Direct Cost: ¥114,900,000、Indirect Cost: ¥34,470,000)
Fiscal Year 2014: ¥227,240,000 (Direct Cost: ¥174,800,000、Indirect Cost: ¥52,440,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は、(a)「水素/一酸化炭素-酸素/過酸化水素・燃料電池の開発」、(b)「ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼモデルによる水素と酸素の活性化機構の理論化学的考察」、(c)「新規ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼS-77の酸素耐性機構の解明」である。以下に、(a)~(c)の成果について、具体的に内容を記述する。 ・研究テーマ(a) : 前年度に、水素酸化酵素(ヒドロゲナーゼ)と一酸化炭素酸化酵素(一酸化炭素デヒドロゲナーゼ)をモデルとして、水素と一酸化炭素の両方を酸化できるアノード分子触媒を開発することで、水素/一酸化炭素・燃料電池を構築した。今年度は、酸素と過酸化水素の両方を還元できるカソード分子触媒を開発し、前年度のアノード触媒と組み合わせて、水素/一酸化炭素-酸素/過酸化水素・燃料電池の開発に成功した。過酸化水素は、燃料電池の駆動中に酸素の不完全還元によって副生し、触媒表面で高酸化活性を持つオキシルラジカル種に変換することで、電極触媒やプロトン電動膜を分解するため、電池の劣化の原因となっている。そのため、酸素と同様に過酸化水素を還元できる触媒の開発が必要とされている。酸素耐性ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼは、酸素を水に還元することが知られており、最近、過酸化水素の分解も報告されている。本研究では、酸素耐性ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼをモデルとすることによって、酸素と同様に過酸化水素を還元できる分子触媒を開発することができ、最終的に、水素/一酸化炭素-酸素/過酸化水素・燃料電池の構築に至った(Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 15792)。 ・研究テーマ(b) : 酸素耐性ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼは、水素の酸化と酸素の還元の両方を触媒できる酵素である。自然界において、このように酸化と還元の両方の特性を示す酵素は特異であるため、酵素研究とモデル研究の両面から反応メカニズムの検討が行われてきた。昨年度、我々は、実験的観点から、ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼモデル錯体を用いて、水素と酸素の活性化メカニズムについて詳細な速度論的研究を行なった。今年度は、さらに理論化学的観点から、ニッケル・鉄ヒドロゲナーゼモデル錯体による水素と酸素の活性化メカニズムについて検討を行い、これまでにない新たな知見を得ることができた。本研究により得られた成果は、酵素研究にフィードバックされるだけでなく、水素と酸素の活性化触媒の分子設計に有益なものである。 ・研究テーマ(c) : 当研究室で新規に単離したニッケル・鉄ヒドロゲナーゼS-77は、水素活性化能と酸素耐性能を両方持ち合わせる新しいヒドロゲナーゼである。この新規ヒドロゲナーゼS-77は、そのような特別な性質を持つことから、初めて固体高分子形燃料電池に適応することが可能となった。しかし、その水素活性化能と酸素耐性能の発現機構は不明であった。本研究では、S-77の還元型と酸化型を構造解析することによって、その発現機構を明らかにすることに成功した。
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