Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
ダイヤモンド中の個々の量子ビットをセンサーとして、単一の原子(核スピン)や単一の分子内の個々の核スピンの核磁気共鳴(NMR)イメージング測定を室温で実現するための量子物性解明と、その実験系構築を最終目標として研究を開始した。初年度ということで、評価装置系の設計に注力しながら、ダイヤモンドの結晶成長を継続的実行した。具体的には・ 高純度ダイヤモンド基板(IIa 基板)上の低欠陥濃度12C同位体ダイヤモンド薄膜成長:膜厚を1~4nmと変化させ、その中のNVペアを適切な濃度で添加する条件を探索した。また様々な変調ドーピングと微細加工ダイヤモンドテンプレートの作製によりNVの高効率導入を実現する条件を探索した。・ 12C同位体ダイヤモンド薄膜のフォトルミネッセンスマッピングによる評価:薄膜内に添加されたNVペアの濃度を決定する方法の確立に向けた実験を開始した。厚さにスケールしてNVペアの量が増えることを確認し、その結果を成長条件の向上に役立てた。・ フォトルミネッセンス励起分光(PLE)装置による12C同位体ダイヤモンド薄膜のスペクトル拡散評価:薄膜中にNVペア以外の欠陥が含まれると、同一のNVペアからの発光でも、測定の度に発光波長(周波数)が変化してしまう。この現象はスペクトル拡散と呼ばれ、その抑制はT2の延長と直結している。量子センサー計測において共鳴周波数が変化してしまう事はエラーの要因であるため、スペクトル拡散による拡がりが数100MHzの試料の完成を目指した。この最終目標に対して今年度は数GHzまで抑えることに成功した。・ 光検知磁気共鳴 (ODMR) による位相緩和時間(T2)測定:電子スピン0と±1準位間の磁気共鳴を誘起することで量子状態の操作を行い、ある量子状態に固定(初期化)してからその位相がどの程度の時間(T2)保たれるかをスピンエコーにより評価した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。