Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
福島原発事故発生からほぼ4年が経過し、森林内の放射性物資の多くは樹木や落葉層から表層土壌へと移行している。そのため、森林における放射性物質汚染の解明には土壌中の放射性物質の樹木への移行様式を明らかにする必要がある。そこで、今回、根に感染する菌根菌が樹木のセシウム吸収に及ぼす影響を明らかにするため、1.菌根菌へのセシウム吸収様式と、2.菌根菌から樹木への移行様式を明らかにした。菌根菌分離菌株を、セシウムを含んだ液体培地で培養したのち、菌体内のセシウム量をICP-MSによって測定した。その結果、セシウム吸収は、菌根菌と腐生菌とでは異なり、また菌根菌の中でも、発生環境に応じて、その吸収様式は異なっていた。次に、セシウムの菌根菌から樹木への移行様式を調べるため、無菌的に育苗したアカマツ、ウバメガシへ菌根菌を接種した後、非放射性セシウムを添加し、苗地上部のセシウム含量を測定した。用いた菌根菌は、ツチグリ、コツブタケ、ケショウシメジ、アカヒダワカフサタケおよびウラムラサキである。菌の接種6箇月後、塩化セシウム(10 ppm)を添加した。さらに4箇月栽培したのち、苗の成長量及び地上部のセシウム濃度を測定した。植物体地上部のセシウム濃度は菌の接種による有意な違いは認められなかったが、菌の接種により植物体の成長量が多くなり植物体への吸収量は多くなっていた。また、菌根菌感染の樹木吸収への影響を野外の自然条件下で明らかにするため、放射性物質の汚染度合いの異なる場所に設定した試験区に菌根菌感染苗を植栽した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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関東森林研究
Volume: 66